新型コロナ治療薬で7つの推奨
米国感染症学会が診療ガイドライン公表新型コロナウイルス最新情報

新型コロナ治療薬で7つの推奨
米国感染症学会が診療ガイドライン公表

米国感染症学会(IDSA)は4月11日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する7剤の推奨を記載した『COVID-19診療ガイドライン』(以下、診療ガイドライン)を公式サイトで公表した。いずれも入院患者が対象で、最新情報に基づき随時改訂している。

一部で使用の限定を強調

診療ガイドラインでは、COVID-19への有効性が期待されている次の7剤に関する要点を紹介している。

Recommendation 1:
入院患者に対し臨床試験によりヒドロキシクロロキンまたはクロロキンを推奨する(knowledge gap)

Recommendation 2:
入院患者に対し臨床試験においてのみヒドロキシクロロキンまたはクロロキン+アジスロマイシンを推奨する(knowledge gap)

Recommendation 3:
入院患者での臨床試験の状況においてのみロピナビル/リトナビル配合薬の使用を推奨する(knowledge gap)

Recommendation 4:
COVID-19関連肺炎による入院患者へのコルチコステロイドの使用は推奨しない(条件付き推奨、確実性の証拠が極めて低い)

Recommendation 5:
COVID-19と急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を合併した入院患者へのコルチコステロイドの使用については臨床試験の参加者においてのみ推奨する(knowledge gap)

Recommendation 6:
入院患者へのトシリズマブの使用について臨床試験の参加者でのみ推奨する(knowledge gap)

Recommendation 7:
入院患者へのCOVID-19回復期血漿の使用を推奨する(knowledge gap)

診療ガイドラインでは、不確実性が高いおよび/または害の可能性がより高い薬剤については、「のみ(only)」と記載し使用を限定した。例えば、ヒドロキシクロロキン/クロロキン+アジスロマイシンについては、臨床試験に参加していない外来患者で特に毒性が高い可能性があり、モニタリングが不十分の場合にリスクが高まる。そのため「入院患者においてのみ」となった。Recommendation 6については、トシリズマブの適応外投与による感染症や薬物相互作用の悪化が懸念されることから「臨床試験の参加者でのみ」と記載された。

なお、Recommendatinは現時点での「knowledge gap」を認識し、潜在的に無効または有害な介入に対する時期尚早な推奨の回避を目的としている。

FDAはヒドロキシクロロキン/クロロキンの安全性に言及

ところで、4月24日の記者会見でトランプ米大統領がCOVID-19に対するヒドロキシクロロキン/クロロキンを評価する発言が報じられた。しかし米食品医薬品局(FDA)は同日、両薬の外来患者への使用および、臨床試験における不整脈リスクを有する患者への使用に注意を警告した。FDAはCOVID-19に対する両薬使用を緊急措置および臨床試験にとどめている段階で、入院もしくは外来患者への治療または予防的投与により、QT間隔の延長、心室頻拍、心房細動、死亡などの報告を受けている。安全性については調査を継続している。

前述の通り、診療ガイドラインにおいても有害性を考慮し使用を限定している(関連記事「新型コロナ候補薬、不整脈に注意」)。

その他の期待される薬剤についても記載

COVID-19におけるRecommendation策定には追加データを要するとして、次の薬剤が挙げられた。抗HIV薬ロピナビル/リトナビル+インターフェロン-βまたは他の抗ウイルス薬、回復期血漿の予防投与、リバビリン、オセルタミビル、免疫グロブリン静注療法、remdesivir。いずれも臨床試験が進行中だが、remdesivirは開発中のギリアド・サイエンシズが4月末には結果を公表するとしている(関連記事「コロナ治験薬remdesivir、4月末に結果公表」)。

その他に、投与への懸念がある非ステロイド抗炎症薬(NSAID)やレニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬〔ACE阻害薬、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)〕の考え方についても記載された。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)はアンジオテンシン変換酵素(ACE)2を介して標的細胞と結合し侵入することが報告されている(Cell 2020; 181: 271-280)。 NSAIDおよびRA系阻害薬はACE2の発現を亢進させる可能性が指摘されている。しかし、いずれも関連性は明らかでない。NSAIDについてはナプロキセンの臨床試験が行われている。またRA系阻害薬の適応患者には、SARS-CoV-2に感染しても投与を継続するよう、米国心臓協会(AHA)、米国心不全学会(HFSA)、米国心臓学会(ACC)が求めている旨があらためて記載された(関連記事「継続?中止?新型コロナ患者の降圧薬」)。

引用元 : Medical Tribune 新型コロナ治療薬で7つの推奨
お申し込みはこちら