レムデシビルの第Ⅲ相試験で有望な成績か
重症の新型コロナ第Ⅲ相試験で新型コロナウイルス最新情報

レムデシビルの第Ⅲ相試験で有望な成績か
重症の新型コロナ第Ⅲ相試験で

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬の有力候補の1つとされる抗ウイルス薬remdesivir。安倍晋三総理大臣が4月28日に同薬について審査期間を大幅に短縮する制度「特例承認」を利用し、早期承認を目指すと明言したことから、国内外からの注目度が高まっている。早ければ5月にも承認される見通しだという。4月29日には、remdesivirの開発元であるギリアド・サイエンシズが、進行中の第Ⅲ相試験結果の一部を発表。重症患者への5日間の短期間治療で症状改善が見られたと公表した。国内外での承認を後押しする好材料になりそうだ。

約400例を先行解析

今回発表されたのは、remdesivirの国際臨床第Ⅲ相試験SIMPLEのうち重症患者を対象にした試験の途中結果。SIMPLEは、中等症、重症のCOVID-19患者7,600例を対象にした2件の試験で、米国、スペイン、イタリア、ドイツ、英国、中国、台湾、韓国、日本など感染が拡大している15カ国から100施設の参加を得て実施されている(「コロナ治験薬remdesivir、4月末結果公表」)。

海外では3月6日に症例登録が始まり、日本では4月14日に横浜市立市民病院など3施設の参加を得て投与が開始された。国内では90例程度の患者登録を見込む。

COVID-19重症患者に対する試験では、6,000例を登録する予定。

今回発表された結果は、このうち先行して登録を終えた重症患者397例に対するもので、標準治療(抗菌薬、輸液など)に上乗せして、remdesivir(点滴静注)を①初日に200mg投与後、2日目以降は100mgを1日1回、10日目まで投与する10日間投与群(197例)②初日に200mg投与後、2日目以降は100mgを1日1回、5日目まで投与する5日投与群(200例)-で有効性と安全性を検証したもの。肺炎の所見があり、酸素飽和度の低下が認められるものの、人工呼吸器を必要としない患者を組み入れた。

5日投与で10日投与と同等の改善効果

主要評価項目は、投与開始から14日目の臨床状態で、7段階の順序尺度を用いた。順序尺度とは、
①死亡
②入院しており、侵襲的機械的人工換気またはECMOを装着している
③入院しており、非侵襲的換気装置または高流量酸素供給装置を装着している
④入院しており、低流量の酸素補給を必要とする
⑤入院しており、酸素補給を必要としないが、継続的な治療を必要とする
⑥入院しており、酸素補給を必要としない。継続的な治療はもはや不要である
⑦退院

同尺度を用いて、ベースラインから2段階以上の改善が見られた場合を「臨床的改善」、酸素療法と治療が不要になるか、退院に至った場合を「臨床的回復」と定義した。

解析の結果、臨床的改善が患者の50%に認められるまでの期間は、5日投与群では10日、10日投与群で11日だった。臨床的改善の割合は、それぞれ64.5%、54.3%だった。

また、14日目までに退院した患者の割合は、5日投与群では60.0%、10日投与群で52.2%と、両群とも半数以上が退院に至った。さらに、臨床的回復を見ると、5日投与群では64.5%、10日投与群で53.8%であった。

一方、死亡率は5日投与群では8.0%、10日投与群で10.7%だった。イタリアの患者を除くと、両群を合わせた死亡率は7.2%であり、臨床的改善の割合は64.0%、退院に至った割合は61.2%だった。

早期投与の有用性示す、有害事象に悪心や急性呼吸不全など

remdesivirの投与開始時期別の探索的解析では、発症後10日以内に投与を受けた患者では、発症後11日以降に投与を受けた患者と比べて経過が良好だったことも分かった。両群のデータを統合して解析した結果、投与開始から14日目までに退院した割合は、発症後10日以内に投薬を開始した患者では62%、発症後11日以降に開始した患者では49%と10ポイント以上の差があり、早期の治療による有用性が示された。

安全性のデータを見ると、有害事象の発生率は5日投与群では70.5%、10日投与群で73.6%、重篤な薬剤関連有害事象はそれぞれ1.5%、2.0%、投与中止に至った有害事象は4.5%、10.2%であり、10日投与群では2倍以上だった。

患者の10%以上で見られた有害事象は、悪心(5日投与群10.0%、10日投与群8.6%)、急性呼吸不全(同6.0%、10.7%)。グレード3以上の肝酵素(ALT)上昇は7全体の7.3%で認められ、この理由のため3.0%が投与を中止した。

ギリアドは「今回の投与期間を短縮した5日投与群で10日投与群と同様の有効性が得られるかを検討した結果、患者の改善度は同程度であることが明らかになった」とコメント。その上で「一部の患者は5日間の治療を受けられる可能性を示すものだ。現時点でのremdesivirの供給量で治療可能な患者を大幅に増やせる可能性がある」との見解を示している。

なお、SIMPLEのCOVID-19中等症患者を対象にしたもう1件の臨床試験は、1,600例の登録を目指しており、5月下旬に600例の解析結果を公表する予定である。

引用元 : Medical Tribune レムデシビルの第Ⅲ相試験で有望な成績か

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