サンフランシスコで都市再開に向け新型コロナウイルス感染者の追跡調査が始まる、Facebook慈善団体がこれを主導新型コロナウイルス最新情報

サンフランシスコで都市再開に向け新型コロナウイルス感染者の追跡調査が始まる、Facebook慈善団体がこれを主導

サンフランシスコ地区で都市閉鎖解除に向けた準備が進んでいる。都市再開では住民の感染状態を継続して把握することが必須要件で、これに向け新型コロナウイルス感染者の追跡調査が始まった。この調査はChan Zuckerberg Initiative(CZI)が主導し、カリフォルニア大学サンフランシスコ校などの大学病院が実施する。CZIはFacebook創業者Marc Zuckerbergと妻のPriscilla Chanが設立した慈善団体で、健康や教育に関する研究を進めている。

追跡検査の概要

この調査はサンフランシスコ地区で新型コロナウイルスの感染状態を正確に掴むために実施される。試験は9か月間継続して実施され、感染状態をスポットで把握するのではなく、被験者を定期的に検査することで感染のトレンドを把握することが目的となる。調査は住民向けの検査と、医療従事者向けの検査の二つのパートから成る。調査結果は都市を再開すると感染がどの程度増えるかを評価する指標となる。

多くの疑問点に答える

新型コロナウイルスでは感染者の多くが無症状(Asymptomatic)といわれ、この調査で実際の感染状況を把握する。また、感染者のウイルスのRNAを解析することで、感染経路を特定する試みがなされる。更に、新型コロナウイルスの抗体検査も同時に実施され、抗体と免疫の関係を検証する。抗体ができれば再び病気に感染することはないかの議論に答えがでる。

地域住民を対象とした調査

新型コロナウイルスの感染状態について、幅広い層の住民を対象に検査を実施する。検査結果は都市再開の基礎データとして使われ、都市閉鎖を安全に解除するためのプロセスを策定するための基本情報となる。また、都市を再開して新しい生活に移行したあとも検査は続けられ、住民の間で感染が広まっていないかを確認し、再び感染が広がると経路を解明し対策が取られる。

毎月PCR検査と抗体検査を実施

この試験はサンフランシスコ地区の住民4000人を対象に、2020年12月まで、毎月、PCR検査(PCR Diagnostic Test)と抗体検査(Serological Test)が実施される。PCR検査で感染の広がりを把握し、一方、抗体検査で被験者の過去の感染状態を把握し、感染者数を正確に計測する。毎月これらの検査が実施され、都市再開の前後で感染者数がどのように変わるのかトレンドを把握する。

ウイルスの遺伝子解析

更に、PCR検査で検出されたウイルスはChan Zuckerberg Biohubで遺伝子解析を実施する。遺伝子配列を把握することで、ウイルスのRNAの変異から種別が分かり、これをたどり地域における感染経路を特定する。また、ウイルスはどこからサンフランシスコ地区に侵入したのかも解明する。感染経路の特定にはContact Tracingの手法が使われるが、遺伝子検査でこの作業を補完することを目指している。Chan Zuckerberg Biohubとはカリフォルニア大学サンフランシスコ校やスタンフォード大学などが参加する生物学研究所でMarc Zuckerbergの寄付金で設立された。

医療従事者向けの調査

もう一つの調査は医療従事者を対象として実施され、新型コロナウイルスが病院に及ぼすインパクトを査定する。具体的には、被験者の抗体検査とPCR検査を継続して実施する。新型コロナウイルスに感染すると抗体ができるが、この抗体がいつまで存続するかを調べる。また、抗体があれば再び新型コロナウイルスに感染することはないのかを解明する。

抗体は社会復帰のパスポート?

この検査は医療従事者3500人を対象に、12週間にわたり、毎週PCR検査と抗体検査が実施される。また、抗体検査で陽性であった被験者は、2020年12月まで、新型コロナウイルスに再度感染しているかどうかが検査される。WHOは抗体ができても免疫ができるかは不明としており、この疑問に答えを出すことになる。都市を再開して社会に復帰するときに、抗体がパスポートになるのかが分かる。

疫学の観点からの調査

米国で、新型コロナウイルスに関する虚偽の記事が数多く発信され、社会が不安定になっている。特に、都市再開に向けては医学的な議論より政治的な主張が優勢で、正しい判断の妨げになっている。このため、研究者や著名人などがテレビ番組に登場し、国民に正しい情報を発信し続けている(先頭の写真)。番組の中でPriscilla Chanは、都市閉鎖を解除するには新型コロナウイルスの発生や流行状態など疫学(Epidemiology)の観点から検査を行うことが最低条件と述べている。

都市再開のための基礎データ

今は、住民の何人がウイルスに感染しているのかなどの基礎データが揃っていない。また、無症状の感染者の実態が分からないため、誰がスプレッダーであるのかを特定できない。更に、抗体が社会復帰のためのパスポートになるのかも定かでない。これらの基礎データをそろえない限り、都市再開を安全に進めることはできない。

Chan Zuckerberg Initiativeとは

このプロジェクトを主導するChan Zuckerberg InitiativeはPriscilla ChanとMark Zuckerbergにより2015年に設立された慈善団体で、医療や教育や科学の分野で、人間の可能性を伸ばし平等な社会を実現することをミッションとする。今世紀末までに病気をなくすことを目標に研究を進めている。CZIは従来の慈善団体と異なり、テクノロジー使って社会の問題を解決するアプローチを取る。

IT企業創業者の役割

米国ではこの危機を救うためにIT企業の創業者が重要な役割を果たしている。Bill Gatesは同氏の慈善団体Bill & Melinda Gates Foundationを通じて3億ドルを寄付し、新型コロナウイルスのワクチン開発を支援している。Twitter創業者Jack Dorseyは10億ドルを新型コロナウイルス対策に寄付することを表明している。多くのIT企業創業者は格差社会を是正する慈善活動を進めているが、新型コロナウイルスでこの流れが加速している。

引用元 : Emerging Technology Review サンフランシスコで都市再開に向け新型コロナウイルス感染者の追跡調査が始まる、Facebook慈善団体がこれを主導
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