新型コロナ蔓延、遅らせる要因は?
季節の変化、学校閉鎖、公衆衛生介入で比較新型コロナウイルス最新情報

新型コロナ蔓延、遅らせる要因は?
季節の変化、学校閉鎖、公衆衛生介入で比較

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延(感染拡大)を遅らせる要因は、季節の変化か、学校閉鎖か、あるいはその他の公衆衛生的な介入かー。カナダ・University of Toronto、Department of Medicine and Institute of Health Policy, Management and Evaluation教授のPeter Jüni氏らは前向きコホート研究を実施し、結果をCMAJ(2020年5月8日オンライン版)に報告した。

144カ国・地域のアウトブレイク37万件超を検討

インフルエンザの感染拡大を遅らせる要因として、夏場の高温、多湿、太陽放射が関係していることは周知の事実である。一方、COVID-19においては、世界中で学校閉鎖やその他の公衆衛生的介入が行われているが、それらが感染拡大を遅らせる影響因子であるのか、あるいは季節の変化が状況を好転させるのかについては明らかにされていない。

そこで、Jüni氏らは世界144カ国・地域のアウトブレイク事例37万5,609件を対象に前向きコホート研究を実施。2020年3月7〜13日の曝露期間における地域(緯度)、気温、湿度といった季節性や学校閉鎖、集団形成の制限、社会的距離の確保といった対策と、2020年3月21〜27日の追跡期間におけるアウトブレイクの累積発生件数との関連を検討した。2020年3月20日時点で既に感染拡大が抑えられたとされる中国、感染拡大が確立したと見なされた韓国、イタリア、イランは除外した。

144カ国・地域における住民100万人当たりのCOVID-19の報告件数は87.6件〔四分位範囲(IQR)31.9〜193.7件〕、感染拡大を表す感染率比は3.56(IQR 2.41〜4.66)であった。大半の国や地域は北半球に位置〔緯度38.4度(IQR 21.8〜44.6度)〕、海面に近接〔高度82.5m(同16.0〜274.0m)〕、温暖な気候下〔気温12.8℃(同7.3〜21.2℃)、相対湿度69.0%(同60.3〜76.6%)、絶対湿度7.1g/m3(同5.2〜10.8 g/m3)〕であった(数値は全て中央値)。

複数の公衆衛生的介入が感染拡大の遅延に「有効」

ランダム効果回帰モデルを用いて単変量解析を行い、各曝露因子とCOVID-19の累積発症件数との関連をRRR(Ratios of rate ratios)で求めた。その結果、緯度および気温とCOVID-19の感染拡大に関連は示されなかったが、相対湿度〔RRR 0.91(95%CI 0.85〜0.96)〕および絶対湿度〔同0.92(0.85〜0.99)〕と、湿度の上昇とCOVID-19感染拡大の遅延に弱いながら有意な関連が認められた(順にP=0.002、P=0.024)。一方、公衆衛生的介入については、学校閉鎖〔RRR 0.63(95%CI 0.52〜0.78)〕、集団形成の制限〔同 0.65(0.53〜0.79)〕、社会的距離の確保〔同 0.62(0.45〜0.85)〕と、いずれも極めて強い有意な関連が認められた(いずれもP<0.001)。

さらに多変量解析を行ったところ、公衆衛生的介入をいずれか1つ行う場合に比べ、2つまたは3つと複数行うとより強い関連が確認された〔RRRは順に0.67(95%CI 0.55〜0.82)、0.54(0.42〜0.70)、傾向性のP<0.001〕。しかし、湿度との有意な関連は消失した。

今回の結果から、Jüni氏らは「COVID-19の感染拡大を遅らせる因子として、緯度や気温といった地理的要因に強い関連は示されなかった。一方、学校閉鎖や集団形成の制限、社会的距離の確保といったエリアごとの公衆衛生的介入は強い関連を示し、単一よりも複数の介入を組み合わせる方がより効果的であることが明らかになった」と結論。その上で、「公衆衛生的介入をいつ、どのように解除するかを決断する際には、経済的および心理社会的な損失の可能性を踏まえて慎重に検討する必要がある」と結んだ。

引用元 : Medical Tribune 新型コロナ蔓延、遅らせる要因は?
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