医療・介護・障害福祉で相次ぐ大規模クラスター
OVID-19の全感染者の約18%、6分の1以上が医療・介護・障害福祉関連か
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医療・介護・障害福祉で相次ぐ大規模クラスター
OVID-19の全感染者の約18%、6分の1以上が医療・介護・障害福祉関連か

医療機関や介護事業所・障害福祉施設などで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のクラスター(感染者の集団)が増えつつある。患者・利用者や職員で合計20人以上の感染者が判明した主なケースについて、医療機関を表1、介護事業所・障害福祉施設を表2に示した。その数は5月17日時点で医療機関で28カ所、介護事業所・障害福祉施設で14カ所に上る。

従事者の感染は1300人以上、患者・利用者等との合計は2900人以上

日経ヘルスケアでは、自治体や医療機関などの発表等から、医療・介護・障害福祉サービスの従事者等の感染状況をまとめ、随時更新している(関連記事はこちら)。5月16日時点で、COVID-19の感染が確認された医療機関や介護事業所、障害福祉施設などの従事者の累計は1300人を超えている。内訳は判明分で医師150人以上、看護師490人以上。介護職員等や職員の内訳が未判明な分も合わせると従事者の感染は計1330人以上に上る(日経ヘルスケア調べ)。

一方、院内感染・施設内感染と思われる患者・利用者等は約1570人。従業者と患者・利用者等の合計は2900人以上となる。厚生労働省の調べによると、5月17日時点でのCOVID-19感染者は1万6285例。医療・介護・障害福祉の従事者の陽性者(1330人)が占める割合は約8.2%となる。また院内感染・施設内感染と思われる患者・利用者等(1570人)の占める割合は約9.6%。従業者と患者・利用者等の合計(2900人)は全体の約17.8%である。つまり、国内のCOVID-19の全感染者の6分の1以上が医療・介護・障害福祉セクターで生じているとみられる。

表1 医療機関で計20人以上のCOVID-19感染が判明した主なケース
(日経ヘルスケア調べ)

公益財団法人ライフ・エクステンション研究所付属永寿総合病院(東京都台東区、400床)
計214人(職員83人[医師8人、看護師・看護助手60人、職員15人]、患者等131人)※5月9日時点

医療法人敬仁会・なみはやリハビリテーション病院(大阪市生野区、120床)
計118人(職員等65人、患者等53人)※4月22日時点

社会福祉法人浄風園・中野江古田病院(東京都中野区、173床)
計98人(職員等29人、患者等69人)※5月13日時点

医療法人芙蓉会・二ツ屋病院(石川県かほく市、156床)
計75人(職員等21人[看護師等15人、職員6人]、患者54人)※5月15日時点

医療法人財団正明会・山田記念病院(東京都墨田区、140床)
計72人(職員39人、患者33人)※5月13日時点

国立病院機構北海道がんセンター(札幌市白石区、430床)
計71人(職員等36人[医師2人、看護師29人、職員5人]、患者35人)※5月16日時点

医療法人警和会・第二大阪警察病院(大阪市天王寺区、341床)
計65人(内訳は未確定)※5月9日時点

聖マリアンナ医科大学 横浜市西部病院(横浜市旭区、518床)
計63人(職員等34人、患者等29人)※5月13日時点

公益財団法人地域医療振興協会・練馬光が丘病院(東京都練馬区、342床)
計57人(職員31人[医師1人、看護師24人、理学療法士2人、職員4人]、患者26人)※5月12日時点

JCHO東京新宿メディカルセンター(東京都新宿区、520床)
計55人(職員32人[医師4人、看護師等15人、職員13人]、患者23人)※5月15日時点

医療法人杏医会・札幌呼吸器科病院(札幌市白石区、52床)
計51人(職員等24人[医師1人、看護師12人、看護補助者3人、薬剤師3人、清掃員1人、他職員4人]、患者等27人)※4月30日時点

医療法人同仁会・千歳第一病院(北海道千歳市、82床)
計45人(職員20人、患者25人)※5月8日時点

東京都立墨東病院(東京都墨田区、765床[感染症病床10床含む])
計42人(職員30人[医師8人、看護師6人、職員16人]、患者12人)※5月15日時点

神戸赤十字病院(神戸市中央区、310床)
計37人(職員23人[医師6人、看護師16人、看護補助者1人]、患者14人)※5月6日時点

富山市立富山市民病院(富山市、595床[感染症病床6床含む])
計37人(職員16人[医師2人、看護師12人、理学療法士2人]、患者21人)※5月6日時点

神戸市民病院機構・神戸市立医療センター中央市民病院(神戸市中央区、768床[感染症病床10床含む])
計36人(職員29人[医師3人、看護師19人、看護補助者3人、職員4人]、患者7人)※5月14日時点

慶應義塾大学病院(東京都新宿区、960床)
計35人(職員31人[医師28人、職員3人]、患者4人)※4月30日時点

社会医療法人大成会・福岡記念病院(福岡市早良区、239床)
計35人(職員24人、患者・家族11人)※5月15日時点

医療法人財団健貢会・総合東京病院(東京都中野区、451床)
計31人(職員18人[看護師15人、理学療法士1人、薬剤師2人]、患者13人)※4月27日時点

医療法人井上外科記念会・世田谷井上病院(東京都世田谷区、50床)
計31人(看護職員8人、患者23人)※5月11日時点

小田原市立病院(神奈川県小田原市、417床)
計31人(看護師15人、看護補助者1人、患者15人)※5月15日時点

社会医療法人西陣健康会・堀川病院(京都市上京区、198床)
計30人(職員10人[看護師7人、看護補助者2人、職員1人]、患者20人)※5月7日時点

医療法人協友会・彩の国東大宮メディカルセンター(さいたま市北区、337床)
計29人(職員15人、患者14人)※5月11日時点

一般社団法人巨樹の会・所沢明生病院(埼玉県所沢市、50床)
計27人(職員11人、患者・家族等13人、他院からの救急搬送患者3人)※4月20日時点

国立病院機構・大分医療センター(大分市、314床)
計24人(職員等10人[医師2人、看護師7人、職員1人]、患者等14人)※3月27日時点

医療法人鶯友会・牧病院(松山市、182床)
計23人(職員10人[看護職員6人、介護職員3人、職員1人]、患者等13人)※5月17日時点

茨城県厚生連JAとりで総合医療センター(茨城県取手市、414床[感染症病床6床含む])
計20人(職員等6人[看護師6人]、患者等14人)※4月14日時点

医療法人聖仁会・横浜甦生病院(横浜市瀬谷区、81床)
計20人(職員等18人[看護師12人、看護補助者4人、職員2人]、患者等2人)※5月7日時点

緊急事態宣言の解除後も油断は禁物

5月14日に39県で緊急事態宣言が解除されたが、医療機関でのクラスターは引き続き発生している。医療法人鶯友会・牧病院(松山市、182床)では5月12日、看護職員1人の感染が確認された。14日には入院患者11人と職員6人の陽性が判明。17日までに計23人(職員10人[看護職員6人、介護職員3人、職員1人]、患者等13人)のクラスターとなっている。

東京でも医療法人財団正明会・山田記念病院(東京都墨田区、140床)で4月29日、職員4人と患者29人の感染が判明した。一般病棟で発熱症状のある入院患者が増えたため、一般病棟の患者全員と濃厚接触者を含む職員数名のPCR検査を実施したところ、感染拡大が明らかになったものだ。5月13日までに計72人(職員39人、患者33人)の大規模クラスターが発生している。

最初は少人数の感染が確認されただけであっても、職員や患者などにPCR検査を実施してみたところ、感染が拡大していたことが判明するケースが少なくない。緊急事態宣言後も引き続き注意が必要だといえるだろう。

100人以上の超大規模クラスターも

目下、医療関連で国内最大級のクラスターは、東京都台東区の永寿総合病院(400床)だ。5月1日、同院は現状報告をウェブサイトで更新。3月20日~5月9日の間に職員83人(常勤医師8人、看護師・看護助手60人、その他職員15人)と患者131人(入院患者106人など)の計214人が感染したことが明らかになった。患者はうち42人が死亡している。

医療法人敬仁会・なみはやリハビリテーション病院(大阪市生野区、120床)では、4月21日までに計118人(職員65人、患者53人)の集団感染が確認された。4月15日に看護師1人、16日に理学療法士1人の感染が報じられ後、大阪府が調査に入ったところ、100人超に感染が広がっていた実態が明らかとなった。

船橋市障害者支援施設・北総育成園(千葉県東庄町、入所定員75人)では、3月27日に初の感染者が確認されてから、4月20日までに計119人(入所者・利用者58人、職員40人、他施設職員2人、職員の家族など19人)の陽性が判明している。

北海道の「第2波」は医療・介護が中心に

北海道では、いったん収束に向かったと見えたCOVID-19の感染拡大の第2波が押し寄せている。感染者数が増えている大きな原因は、医療機関や高齢者住宅などにおけるクラスターの発生だ。例えば、国立病院機構北海道がんセンター(札幌市白石区、430床)では4月16日に看護師3人と入院患者1人の感染が確認された後、5月16日までに感染者は患者・職員で計71人(医師2人、看護師29人、職員5人、患者35人)となっている。

医療法人杏医会・札幌呼吸器科病院(札幌市白石区、52床)でも、4月6日に病棟勤務の50歳代看護師1人の感染が確認された後、5月1日までに職員・患者で計51人(医師1人、看護師12人、看護補助者3人、薬剤師3人、清掃員1人、他職員4人、入院患者23人、転院患者4人)のクラスターが発生した。

介護でも、社会福祉法人札幌恵友会・介護老人保健施設茨戸アカシアハイツ(札幌市北区、入所定員100人)で、5月17日時点で計95人(入所者・利用者等71人、職員等24人)の大規模クラスターが判明。サービス付き高齢者向け住宅 グラン・セラ柏陽(北海道千歳市、53戸)でも、4月29日までに計20人(入居者13人、利用者1人、職員6人)のクラスターが発生している。

地方の高齢者住宅などにも波及

懸念されるのは、医療機関だけでなく介護・障害福祉施設でもクラスターが発生しており、都市部だけでなく地方でも見られるようになった点だ。4月9日、ケアサプライシステムズ(株)(群馬県高崎市)が運営する住宅型有料老人ホーム「藤和の苑」(群馬県伊勢崎市、50室)で入居者2人の感染が確認された。入居者・職員の検査を実施したところ、24日までに計67人(看護師1人、職員18人、入居者42人、通所介護の利用者1人、関係者5人)の陽性が判明した。

要介護高齢者に感染が拡大した際のリスクは高く、5月6日までに入居者のうち16人が死亡している。また同施設を巡っては、感染者の大量発生に伴って群馬県の感染症病床が不足し、県内の医療機関に対して一般病床での受け入れを県が要請。それに応じた医療機関で看護師などが感染するなど、医療・介護をまたがる形で感染が広がった。

医療機関や介護事業所などでの従業者・患者等のCOVID-19感染者の発生は、そもそも責められるべきではない。もはやどこでも起こり得る。ただ、気が付かずに大規模なクラスターに発展することは可能な限り避けなければならない。

高齢者は感染時の重症化リスクが高く、介護を要する場合は職員などの感染リスクもある。障害者・児は感染予防を徹底してもらうことに困難を伴う。そのため、例えばCOVID-19に感染したが無症状の職員などが持ち込み、院内・施設内感染に気づいたときに、初めて大規模クラスターが可視化されることがあり得る。「もしも」の事態を想定し、「見えない感染連鎖」に備える対策を講じておくべきだ。

表2 介護事業所・障害福祉施設で計20人以上のCOVID-19感染が判明した主なケース(日経ヘルスケア調べ)

船橋市障害者支援施設・北総育成園(千葉県東庄町、入所定員75人)
計119人(職員等42人、入所者等77人)※4月20日時点

社会福祉法人札幌恵友会・介護老人保健施設茨戸アカシアハイツ(札幌市北区、入所定員100人)
計95人(職員等24人、入所者等71人)※5月17日時点

名古屋市の通所介護事業所
計73人(内訳未公表)※4月1日時点

藤和の苑(群馬県伊勢崎市、住宅型有料老人ホーム、50室)
計67人(職員等19人[看護師1人、職員18人]、入居者等48人)※5月6日時点

医療法人恵成会・介護老人保健施設富山リハビリテーションホーム(富山市、入所定員79人)
計67人(職員等18人[看護師7人、介護職員5人、職員6人]、入所者49人)※5月5日時点

社会福祉法人順源会・見真学園(広島市佐伯区、障害児入所施設/障害者支援施設)
計67人(職員14人、入所者等53人)※5月4日時点

社会福祉法人あそか会・特別養護老人ホーム北砂ホーム(東京都江東区、入所定員100人)
計51人(職員7人、入所者等44人)※5月5日時点

社会医療法人垣谷会・明治橋病院 介護医療院(大阪府松原市、入所定員180人)
計49人(職員19人、入所者等30人)※5月13日時点

医療法人千葉光徳会・介護老人保健施設あきやまの郷(千葉県松戸市、入所定員100人)
計35人(職員6人、入所者29人)※4月21日時点

医療法人相生会・介護老人保健施設 楽陽園(福岡市博多区、入所定員100人)
計34人(職員12人[看護師5人、介護職員4人、職員等3人]、入所者22人)※4月28日時点

医療法人緑心会・介護老人保健施設グリーンアルス伊丹(兵庫県伊丹市、入所定員100人、通所リハビリ40人)
計32人(職員7人、利用者25人)※3月30日時点

広島県三次市の通所介護事業所(広島県三次市)
計27人(利用者・家族等23人、他法人の訪問介護事業所の職員2人と家族等2人)※4月15日時点

公益社団法人地域医療振興協会・介護老人保健施設市川ゆうゆう(千葉県市川市、入所定員150人)
計23人(職員5人、入所者18人)※5月1日時点

サービス付き高齢者向け住宅 グラン・セラ柏陽(北海道千歳市、53戸[A館23戸・B館30戸])
計20人(職員6人、入居者14人)※4月29日時点

引用元 : 日経メディカル 医療・介護・障害福祉で相次ぐ大規模クラスター
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