新型コロナウイルスSARS-CoV-2のゲノム分子疫学調査2 (2020/7/16現在)
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新型コロナウイルスSARS-CoV-2のゲノム分子疫学調査2 (2020/7/16現在)

1月初旬に中国・武漢から発したウイルス株を基点にして、日本各地で初期のクラスターが複数発生し消失へと転じていることが確認された。

2月5日から本格的な検疫を開始したクルーズ船・ダイヤモンド・プリンセス(DP)号の乗客・乗員を基点とするウイルス株3.は現在では検出されておらず、日本においては終息したものと思われる。

3月下旬に欧州系統の同時多発と思われるクラスター●を発見(右側・中心にある一番の大きな●マゼンタ背景)4.。

4月上旬に地方の大規模クラスターが首都圏出張を基点にしていることを発見。

他、複数の地域で同時多発が進行中と判断(オレンジ背景)。

現在発生中の主要クラスターの概要(7/16 までの解析結果から)

欧州系統●のまわりに地域に根ざしたクラスターが独自に発生し、それぞれの地域固有の特徴としてウイルスゲノムの系譜が確認された。

欧州系統の同時多発は全国レベルであったが、その後発生した地域固有クラスター(欧州系統から1,2塩基変異を伴う)は現場努力によって少しずつ収束へ向かった(5月下旬)

しかしながら、6月上旬からすこしずつ感染者数が増加傾向へ転じ、その後、東京都を中心にクラスターの多発が確認された。

それに並行して7月上旬から地方でも陽性者が増加し、主要都市圏から注意喚起が発せられた。

6月下旬以降をネットワーク図で分類すると、さらに変異が進んだ特定のゲノムクラスターを確認し、ネットワーク図(図1)・右下の離れたクラスター●(赤背景)を基点に全国各地へ拡散していることが分かった。

これらゲノム情報は、欧州系統(3月中旬)から さらに6塩基変異を有しており、1ヶ月間で2塩基変異する変異速度を適用すれば、ちょうど3ヶ月間の期間差となり時系列として符合する。

この3ヶ月間で明確なつなぎ役となる患者やクラスターはいまだ発見されておらず、空白リンクになっている。この長期間、特定の患者として顕在化せず保健所が探知しづらい対象(軽症者もしくは無症状陽性者)が感染リンクを静かにつないでいた可能性が残る。

6月下旬から、充分な感染症対策を前提に部分的な経済再開が始まったが、収束に至らなかった感染者群を起点にクラスターが発生し、地方出張等が一つの要因になって東京一極では収まらず全国拡散へ発展してしまった可能性が推察された。

引用元 : NIID国立感染症研究所 新型コロナウイルスSARS-CoV-2のゲノム分子疫学調査2 (2020/7/16現在)
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