気象で新型コロナ拡大地域を予測できるか
世界50都市におけるコホート研究
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気象で新型コロナ拡大地域を予測できるか
世界50都市におけるコホート研究

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染拡大により、世界中が危機にさらされている。感染の拡大に影響を及ぼしうる気象条件はあるのか。米国・University of Maryland School of MedicineのMohammad M. Sajadi氏らは、世界50都市の気象データを用いたコホート研究を実施。その結果、SARS-CoV-2感染が拡大した都市は特定の緯度、気温、湿度のエリアに分布していることが明らかになったと、JAMA Netw Open(2020; 3: e2011834)に発表した。

3月10日時で死亡10例以上の都市を感染拡大と意義

感染症の多くは、発症率に季節変動がある。インフルエンザは温暖な地域では季節変動を示すが、熱帯地域では弱まる。一方、中東呼吸器症候群(MERS)や重症急性呼吸器症候群(SARS)では季節変動は報告されていない。なぜ、このような違いがあるのか。その理由は解明されていない。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と気候や季節との関連が見いだせれば、感染状況の把握や感染の拡大防止に役立つ可能性がある。日本では、名古屋工業大学の研究グループが6月17日に、COVID-19の拡大および収束期間、感染者数は人口密度、気温と絶対湿度(AH)の影響を受けるとの分析結果を発表している。

Sajadi氏らは今回、気候とSARS-CoV-2感染拡大との関連を検討するコホート研究を実施。世界50都市における今年(2020年)1月~3月10日の気象データを収集して、SARS-CoV-2感染拡大が見られた8都市〔武漢(中国)、東京、大邱(韓国)、コム(イラン)、ミラノ(イタリア)、パリ(フランス)、シアトル(米国)、マドリード(スペイン)〕と感染の見られない42都市を比較した。

今年3月10日時点でCOVID-19による死亡が10例以上報告された都市を、感染拡大と定義した。気候データ〔緯度、平均気温(地上2m高)、相対湿度(RH)、比湿(Q)、AH〕は、欧州中期気象予報センターのERA-5再解析データを利用した。

緯度、気温、湿度の類似エリアで感染が拡大

解析の結果、今年3月10日時点でSARS-CoV-2感染が拡大していた8都市は、北緯30~50度の狭い範囲に位置していた。また、平均気温は5~11°C、比湿(3~6g/kg)およびAH(4~7g/m3)は低値と、8都市で同様の気候パターンを示した。一方、近隣地域であっても感染拡大が見られない都市もあった。例えば、北緯30.8度の武漢では、COVID-19患者は8万757例、死亡者は3,136例だったが、北緯56.0度のモスクワ(ロシア)ではそれぞれ10例、0例、北緯21.2度のハノイ(ベトナム)では31例、0例だった。

なお、Sajadi氏らは研究の限界として、①各国の患者数と死亡者数は異なる検査法に基づいており、検査法によって感度および特異度に違いがある②感染に影響しうるさまざまな要因(他の気候要因、公衆衛生的な介入、旅行、人口密度、大気汚染、人口統計学的特徴、ウイルス要因)については考慮していないーことを挙げている。その上で、「特定の緯度、気温、湿度におけるCOVID-19拡大の分布は、インフルエンザなど季節変動がある呼吸器ウイルスと一致していた」と述べている。さらに「気候モデルを用いれば、今後数週間でCOVID-19が大幅に拡大するリスクの高い地域を推定し、流行の状況把握と封じ込めに注力できるだろう」と付言している。

引用元 : Medical Tribune 気象で新型コロナ拡大地域を予測できるか
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