聖路加国際病院で3割超がバーンアウト
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聖路加国際病院で3割超がバーンアウト

聖路加国際病院(東京都)は、国内で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が発生して以降、最大規模の患者を受け入れてきた。同院感染症科の松尾貴公氏らが、COVID-19治療の最前線で働く医療従事者を対象としたバーンアウト(燃え尽き症候群)に関するオンライン調査を実施。その結果、全体のバーンアウト率は31.4%で、看護師では約半数に上っていたとJAMA Netw Open(2020; 3: e2017271)に発表した。

バーンアウト群は若く、勤務経験が浅い

松尾氏らは、COVID-19患者と接する部門で働く同院の医師、看護師、臨床検査技師、放射線技師、薬剤師らを488人を抽出し、今年(2020年)4月6日~19日にメールを送信して調査への参加を呼びかけた。参加者は、年齢、性、勤務経験、労働時間、休暇の日数、睡眠時間、不安感、COVID-19パンデミック前からの変化、必要なサポートなどを含むウェブ調査に回答した。主要評価項目は、COVID-19治療の最前線の医療従事者におけるバーンアウトの割合。標準的なバーンアウト測定尺度であるMaslach Burnout Inventory-General Surveyの日本語版を用い、16項目の質問により「疲弊感」「シニシズム」「職務効力感」の3つのサブスケールを評価した。

369人(75.6%)から回答が得られ、データに欠損があった57人を除外した312人(有効回答率63.9%)を解析対象とした。年齢の中央値は30.5〔四分位範囲(IQR)26〜40〕歳で、女性が223人(71.5%)、勤務経験の中央値は7.0(IQR 3〜15)年であった。

検討の結果、バーンアウト率は全体で31.4%(312人中98人)、看護師で46.8%(126人中59人)、放射線技師で36.4%(22人中8人)、薬剤師で36.8%(19人中7人)だった。なお、医師は82人中11人(13.4%)がバーンアウトを経験していた。

バーンアウト群では、非バーンアウト群と比べて女性の比率が高かった(80.6% vs. 67.0%、P=0.02)。また、1カ月当たりの休暇日数が少なく〔8日(IQR 6〜9.3日)vs. 9日(同8〜10日)、P= 0.03〕、年齢が若く〔28歳(同25〜34歳)vs. 32歳(同27〜43歳)、P=0.001〕、勤務経験が浅かった〔5年(同2〜8年)vs. 8年(同3〜18年)、P=0.001〕。

医師と比べてバーンアウト率の高いコメディカル、看護師は約5倍

潜在的な共変量を調整後のロジスティック回帰モデルによる解析では、バーンアウト率は医師に対し、看護師では4.9倍〔オッズ比(OR)4.9、95%CI 2.2〜11.2、P= 0.001)、臨床検査技師では6.1倍(同6.1、2.0〜18.5、P=0.002)、放射線技師では16.4倍(同16.4、4.3〜61.6、P=0.001)、薬剤師では4.9倍(同4.9、1.3〜19.2、P=0.02)といずれも有意に高かった。

またバーンアウトに関連する因子としては、勤務年数の少なさ(OR 0.93、95%CI 0.89〜0.97、P=0.001)、不慣れな個人用防護具使用による不安の高まり(同2.8、1.4〜5.5、P=0.002)、パンデミック以前と比べた睡眠時間の減少(同2.0、1.1〜3.6、P=0 .03)、労働負荷の軽減を望む(同3.6、1.6〜8.0、P=0.002)、感謝や尊敬されることを期待する(同2.2、1.1〜4.6、P=0.03)が抽出された。

医師以外の職種でバーンアウト率が高かった原因として、松尾氏は「これらの職種では、医師に比べ業務の自由裁量や意思決定の権限が弱いことが影響している可能性がある」と考察している。

また、バーンアウト対策に当たっては「献身的に働くスタッフに対し、チームリーダーおよび同僚が感謝やサポートの肯定的なメッセージを送り、仕事への貢献を評価することが不可欠だ」と述べている。

今回の研究の限界としては、パンデミック前の評価が行えなかったことなどを挙げ、「バーンアウトを予防、あるいはリスクを軽減するため、最前線で働く医療従事者の特定と介入についてさらなる研究が必要だ」と結論している。

引用元 : Medical Tribune 聖路加国際病院で3割超がバーンアウト
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