JAMA Cardiology誌から
COVID-19回復者の多くに心臓MRI画像で異常
ドイツの大学病院で回復者100人を追跡して検査
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JAMA Cardiology誌から
COVID-19回復者の多くに心臓MRI画像で異常
ドイツの大学病院で回復者100人を追跡して検査

ドイツFrankfurt大学病院のValentina O. Puntmann氏らは、COVID-19から回復した患者に心筋障害が存在するかどうかを検討する前向き観察コホート研究を実施し、診断日から中央値71日の時点で行った心臓MRI検査では、78%の患者に異常が見られたと報告した。結果はJAMA Cardiology誌電子版に2020年7月27日に掲載された。

心疾患がある患者がCOVID-19を発症すると、心不全が悪化し、心血管系に後遺症が残るという症例報告がいくつかある。また、重篤なCOVID-19患者では、トロポニン値の上昇が観察されている。しかし、COVID-19による心筋障害の機序は明らかではない。そこで著者らは、COVID-19から回復した患者における心筋障害の存在を評価するため、心臓MRI検査とバイオマーカー検査を実施することにした。

対象は、Frankfurt大学病院COVID-19レジストリに2020年4月から6月までに登録されていた患者100人。PCR検査でSARS-CoV-2感染の診断が確定してから最短でも2週間が経過しており、呼吸器症状が回復して、PCR検査が陰性化して隔離期間が終了した回復患者とした。MRI検査のガドリニウム造影剤が禁忌の患者は除外した。

対照群は、年齢と性別がマッチする健康な(血圧が正常で心臓の容積と機能も正常)人50人と、危険因子(年齢、性別、高血圧、糖尿病、喫煙習慣、冠動脈疾患、併存疾患)がマッチする57人の2群を選び出した。

回復患者と対照群には心臓MRI検査を受けてもらい、画像撮影の前に静脈血を採血して高感度トロポニンT検査(hsTnT)とNT-ProBNP検査を実施した。

100人の回復者は53人が男性で、年齢の中央値は49歳(四分位範囲45~53歳)だった。このうち67人は入院せずに自宅で療養したが、33人は入院を必要とした。入院しなかった67人のうち、18人は無症状で、49人の症状は軽症から中等症だった。入院した33人のうち、2人は機械的換気を受け、17人は非侵襲的陽圧換気療法を受けていた。酸素療法を必要とした患者は28人だった。1人に抗ウイルス薬が、15人に抗菌薬が、8人にステロイドが投与された。入院中にhsTnTが13.9pg/mL以上になった患者が15人いた。

回復者100人の中には、高血圧、糖尿病、冠動脈疾患などの心血管系疾患を有する患者が複数いたが、心不全や心筋症の病歴がある患者はいなかった。心血管系以外の疾患では喘息歴がある患者が10人、COPD歴がある患者が11人いた。在宅で回復した患者と入院した患者の併存疾患の保有状況に差はなかった。

COVID-19の診断から心臓MRI検査までの日数は中央値で71日(四分位範囲64~92日)だった。検査当日に胸痛がある患者が17人、動悸を自覚している患者が20人いた。典型的な狭心症状や最近の失神を経験した患者はいなかった。心臓MRI検査の時点で、hsTnTが3pg/mL以上だった患者は71人いた。また、5人は13.9pg/mL以上と有意に高い値を示した。

COVID-19回復者は、2種類の対照群に比べ、左室駆出率と右室駆出率が低下しており、左室容積と左室心筋重量が大きく、造影前T1緩和時間と造影前T2緩和時間が延長していた。

回復者100人中78人の心臓MRI画像に何らかの異常が検出された。心筋の造影前T1緩和時間の延長が73人に、心筋の造影前T2緩和時間の延長が60人に、ガドリニウム造影での心筋遅延造影が32人、心膜遅延造影が22人に認められた。心筋遅延造影が見られた患者のうち、12人は虚血性のパターンを示した。

心臓MRI所見が重症を示した患者が3人いた。hsTnTが有意に高く、造影前T1緩和時間延長と造影前T2緩和時間延長が最高3分位に分類され、心筋遅延造影が認められ、左室駆出分画は50%未満だった。これらの患者を対象に心内膜心筋生検を行ったところ、活動性のリンパ急性炎症が見られたが、ウイルスRNAは検出されなかった。

SARS-CoV-2陽性だが入院しなかった患者と、入院した患者の造影前T1緩和時間には、小さいが有意な差が認められた。中央値は1122ミリ秒(四分位範囲1113~1132ミリ秒)と1143ミリ秒(1131~1156ミリ秒)だった。一方で造影前T2緩和時間、hsTnT値、NT-ProBNP値に差は見られなかった。

ROC曲線を描き曲線下面積(AUC)を推定したところ、造影前T1とT2はCOVID-19関連の心筋病変の検出において識別能力が最も高かった。危険因子をマッチさせた対照群との比較では、AUCはそれぞれ0.71(0.65-0.81)と0.73(0.64-0.81)でカットオフ値は1140ミリ秒と40ミリ秒だった。

これらの結果から著者らは、ドイツのCOVID-19回復者では、78%に心臓MRI画像の異常が見つかり、60%に心筋の炎症が持続していることが示唆された。そのためCOVID-19患者の心血管系への影響を長期にわたって追跡する必要があると結論している。この研究はGerman Ministry of Education and Researchなどの支援を受けている。

原題は「Outcomes of Cardiovascular Magnetic Resonance Imaging in Patients Recently Recovered From Coronavirus Disease 2019 (COVID-19)」、概要はJAMA Cardiology誌のウェブサイトで閲覧できる。

引用元 : 日経メディカル COVID-19回復者の多くに心臓MRI画像で異常
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