COVID-19関連PTSD評価指標を構築する試み
イタリア成人のCOVID-19関連PTSD有病率を29.5%と推定
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COVID-19関連PTSD評価指標を構築する試み
イタリア成人のCOVID-19関連PTSD有病率を29.5%と推定

COVID-19に対する恐れや、これがもたらした不確実性が、人々の生活に影響を及ぼし、高いレベルの心理的ストレスや不安、気分の変容を生じさせている。イタリアSapienza University of RomeのGiuseppe Forte氏らは、COVID-19関連の心的外傷後ストレス障害(PTSD)を評価する自己申告式の質問票COVID-19-PTSDを開発し、既存のPTSD評価指標と比較して精度を検証し、イタリア成人におけるPTSD有病率を調べたところ、29.5%の人にPTSD症状が見られたと報告した。詳細はInt. J. Environ. Res. Public Health誌電子版に2020年6月10日に掲載された。

COVID-19パンデミック下で、多様な要因が相まって生み出す心的外傷は、その後、長期にわたってPTSDを引き起こす可能性がある。たとえば、自分と大切な人々が、ワクチンも有効な治療薬もない、最悪の場合死亡する危険性もあるウイルスに感染する恐怖や、感染拡大を妨げるための行動制限(ソーシャルディスタンシング、検疫、隔離)をはじめとして、生活習慣の変更を余儀なくされ、周囲の人との関係性も変化し、経済的な問題が発生し、未来への不安が大きくなる日々は、一般の人々にとって大きなストレスをもたらしている。

著者らは、COVID-19緊急事態に関連するPTSDリスクを評価するための、新たな、自己申告式の質問票(COVID-19-PTSD)を構築することにした。最初は、DSM-5のPTSD診断基準を満たすかどうかをチェックするための20項目の質問票PCL-5を基にした。次に専門家がフォーカスグループ作業を行い、COVID-19パンデミック評価用に修正する作業を行った。評価分野が重複すると思われる質問を削除したり、急性外傷に対する項目を変更したり、睡眠評価を追加するなどを検討して、最終的に19項目の質問票を作成した。COVID-19-PTSDは、7種類の症状(侵入思考、回避、陰性感情、快感喪失、過覚醒、睡眠障害、外在化問題行動)について評価するもので、5段階(0~4点)のリッカート尺度で症状の重症度を回答してもらうようにした。

この研究の目的の1つ目は、イタリア人を対象とするCOVID-19-PTSDの妥当性と信頼性の評価、2つ目は内的整合性の評価、3つ目は構成概念妥当性と弁別的妥当性の評価に置かれた。そして4つ目が、イタリアの成人におけるCOVID-19関連PTSD症状の有病率に設定されていた。

3月18日から31日まで、異なるソーシャルメディアを通じて募集したイタリア在住の成人を対象に、COVID-19-PTSD質問票を用いたウェブベースの所要時間約30分の調査を行った。調査を完了した2286人を分析対象にした。平均年齢は29.61歳、範囲は18~74歳まで、女性の割合が74%だった。

回答者から、人口統計学的データ(年齢、性別、学歴、職業、出生地、病歴)を得るとともに、COVID-19関連の個人的な経験を尋ねた。対象となった人々のうち、本人にSARS-CoV-2感染歴があったのは9人(0.4%)だった。またCOVID-19患者との接触歴があったのは40人(1.7%)で、COVID-19を発症した知人がいた人は549人(24.0%)、そうした知人がICUに入院していた人が177人(7.7%)、そうした知人が死亡していた人が112人(4.9%)いた。

COVID-19-PTSDの内的整合性は高く、構成概念妥当性と弁別的妥当性はいずれも良好だった。また、COVID-19-PTSDスコアは、SCL-90を用いて評価した全般的な苦痛(r=0.77、P<0.0001)、PTSQを用いて評価した睡眠障害(r=0.53、P<0.0001)の程度と、正の相関を示した。

対象者のスコアの合計の平均は19.87点(範囲は0~76.0点)だった。カットオフ値を26とすると、PTSDの有病率はイタリア人の29.5%と推定された。カットオフ値を26にした場合の感度は0.91、特異度は0.92だった。

これらの結果から、著者らがPCL-5を基に構築したCOVID-19-PTSDは、イタリアの成人のCOVID-19パンデミック関連のPTSD症状の評価において有効だったと結論している。今後は、COVID-19パンデミックの短期的および長期的な心理面への影響を和らげる介入法と、将来に向けたPTSD予防法の開発が必要だ、と述べている。

原題は「COVID-19 Pandemic in the Italian Population: Validation of a Post-Traumatic Stress Disorder Questionnaire and Prevalence of PTSD Symptomatology」、概要はInt. J. Environ. Res. Public Health誌のウェブサイトで閲覧できる。

引用元 : 日経メディカル COVID-19関連PTSD評価指標を構築する試み
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