米・新型コロナ以外の超過死亡35%
3~4月に心疾患や糖尿病による死亡が急増
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米・新型コロナ以外の超過死亡35%
3~4月に心疾患や糖尿病による死亡が急増

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が拡大した今年(2020年)初頭から米国の死亡率は大幅に上昇したが、COVID-19による死亡は3~4月の超過死亡の約65%にすぎなかった。米・Virginia Commonwealth University(VCU)のSteven H. Woolf氏らがJAMA(2020年7月1日オンライン版)に発表した。残る35%は心疾患、糖尿病、脳血管疾患、アルツハイマー病などによる超過死亡で、同氏らはパンデミック下の受診控えや救急搬送の遅延が影響した可能性を指摘している。

パンデミックによる間接的死亡懸念

Woolf氏らは「公表されたCOVID-19による死亡者数は過小評価されている可能性があり、特にパンデミックに伴う間接的死亡が懸念される」と指摘。パンデミック下の外出禁止令や都市封鎖は、医療の遅延、慢性疾患の悪化、精神的苦痛や経済的困窮などを介して間接的に死亡を増やす可能性があるとした。

今回同氏らは、米国におけるパンデミック初期の数週間の超過死亡を推計、COVID-19およびその他の原因の相対的寄与を推定した。超過死亡の推計値は、直接または間接的にCOVID-19に起因する死亡を含め、COVID-19パンデミックの潜在的関連死亡負担に関する情報源となる。超過死亡は通常、特定期間に観察された死亡者数と同期間の予測死亡者数の差として定義される。当該地域の週別死亡者数を過去の傾向と比較し、死亡者数が予想よりも大幅に増えたかどうかを判断する。

今年1~4月および過去6年間(2014~19年)における全米50州とワシントンD.C.の週別死亡データを米国立保健統計センターから取得、3月1日~4月25日の合計超過死亡を推定した。また、3~4月にCOVID-19による死亡者数が最も多かった5州(マサチューセッツ、ミシガン、ニュージャージー、ニューヨーク、ペンシルベニア)を対象に、原因別死亡率の傾向を検討した。

COVID-19ピーク時に糖尿病死が急増

解析の結果、今年3月1日~4月25日に米国で50万5,059例の死亡が報告された。過去5年間の平均に基づく予測死亡41万9,058例(95%CI 41万8,636~41万9,481例)から超過死亡は8万7,001例(同8万6 ,578~8万7,423例)と推計され、COVID-19による死亡が65%(5万6,246例)を占めた。一方、COVID-19以外の基礎疾患に関連する死亡は3万755例(95%CI 3万332~3万1,177例)と35%を占めた。ただし、最も人口が多いカリフォルニア州(55%)とテキサス州(65%)を含む14州では、超過死亡の50%以上がCOVID-19以外によるものだった。

また、COVID-19による死亡者数が最も多い5州では、COVID-19のピーク時(3月1日~4月11日の週)にCOVID-19以外の原因による死亡が急増し、今年1~2月の週平均に比べて糖尿病死は予想死亡者数を96%上回った。さらに、心疾患(89%)、アルツハイマー病(64%)、脳血管疾患(35%)など、非呼吸器系疾患による死亡も急増した。特にニューヨーク州では、心臓死が398%、糖尿病死が356%と著明に増加した。

受診は安全で重要と国民に周知を

以上の推計結果について、Woolf氏は「心筋梗塞や脳卒中などの救急疾患患者の死亡は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)への感染を恐れたことによる受診控えや救急搬送の遅れなどが影響した可能性があり、パンデミックによる間接的な死亡の増加が疑われる。一方で、パンデミックの影響により、糖尿病やがんなどの慢性疾患が悪化がして死亡が増えた可能性もある」と分析。VCU Health SystemのPeter Buckley氏は「今回の研究から、一般市民が外出を控えているパンデミック下において、憂慮すべき傾向が確認された。全国の医療システムは、遠隔医療でも対面医療でもパンデミック下の受診は安全で重要であることを患者に周知する必要がある」と述べている。

Woolf氏らは「COVID-19による直接的、間接的な死亡者数の増加が、医療アクセスを減少または遅延させた社会の混乱および健康の社会的決定因子(仕事、収入、食料保障など)によってもたらされた間接的死亡者数を特定するには、さらなる調査が必要」と指摘。家庭医でもある同氏は「失業、所得喪失および食事・住宅の不安に直面している人々ではうつ病や不安、依存症などのリスクが高まるため、メンタルヘルスのサポートを含めて公的サービスによる支援を強化すべき。超過死亡を減らすには、これらの健康問題に対処するシステムが必要」と提言している。

日本のCOVID-19関連超過死亡は不明

 なお、日本の国立感染症研究所は、インフルエンザ関連死亡迅速把握システムによる21大都市インフルエンザ・肺炎死亡報告を公表している。今年5月24日付のデータによると、昨年12月~今年3月に全国21都市の合計では超過死亡が観察されなかったが、東京都では昨年第49週~今年第13週に予測死亡者数の閾値を上回り、超過死亡が観察された。ただし、同システムでは過去3シーズンにも超過死亡が認められており、今回の死亡者数は過去3シーズン並みか、やや低い傾向にあるという。

COVID-19の影響に関心が寄せられる中、同研究所は「毎年冬季に流行するインフルエンザを想定したこのシステムでは、COVID-19が超過死亡に及ぼす影響を評価することはできない」とコメント。今年6月30日付のNHKニュースでは、同研究所は東京大学などと共同でCOVID-19による超過死亡を推計できる新たな調査システムを開発する準備を進めていると報じられた。

引用元 : Medical Tribune 米・新型コロナ以外の超過死亡35%
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