新型コロナ対策でマスク推奨すべきか
エビデンス待たずに着用を呼びかける専門家も
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新型コロナ対策でマスク推奨すべきか
エビデンス待たずに着用を呼びかける専門家も

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界各地で蔓延する中、感染防止対策として一般市民がマスクを着用すべきかどうかについては明確なエビデンスが存在せず、専門家たちの間でも意見が割れている。そのような中、英・University of OxfordのTrisha Greenhalgh氏らは、一般市民のマスク着用に関して「マスクの着用による社会的、経済的活動への影響は比較的小さいが、ウイルスの感染には大きく影響する可能性がある」などとして、「エビデンスを待たずに推奨すべきである」との見解をBMJ(9;369:m1435)で発表した。(関連記事「新型コロナ、感染防止に銅マスク?」)

CDCなど多くが推奨もWHOは推奨せず

マスクの広範な使用による効果に関する臨床試験データはこれまで十分に存在していないが、現時点では米疾病対策センター(CDC)を含む多くの機関や政府が一般市民のマスク着用を支持している。その一方で、世界保健機関(WHO)や英国公衆衛生局などは支持していない。

専門家の中には、「一般市民がマスクを適切に、かつ常に着用することは期待できず、マスク着用によって手洗いなど他の感染防止対策がおざなりになる恐れもある」「医療従事者により多くのマスクが必要であるため、一般市民はマスクを着用すべきでない」などの意見を持つ者もいる。

しかし、Greenhalgh氏らは「現在の状況下では他の重要な感染防止対策に取り組みつつ、人々にマスクの適切な着用方法を教え、実行してもらうことができる」と異議を唱えている。

感染伝播をわずかに減少させるだけでも大きな変化

またGreenhalgh氏らは、フェイスマスクおよびその他の防護具(ゴーグル、シールド、ベール)の着用によるコロナウイルス、ライノウイルス、結核菌、インフルエンザウイルスなどの感染防止効果を検討したシステマチックレビューを紹介(MedRxiv 2020; 20049528)。12件のランダム化比較試験(RCT)を含む31件の研究を基にしたこのレビューでは、有意差はなかったものの、マスクの着用がインフルエンザ様疾患の感染率を低下させたとの見解が示されているという。

さらに、マスクの着用を支持する間接的なエビデンスとして、ウイルスが含まれるエアロゾルからの感染を外科用マスクで防止できたとの報告を提示(Nat Med 2020年4月3日オンライン版)。加えて、地域コミュニティへの感染の伝染をわずかに減少させるだけでも、病院の患者収容可能病床数や人工呼吸器の需要に大きな違いをもたらしうるとしたモデリング研究があることも示している(Lancet Glob Health 2020; 8: e488-e496)。

こうした知見を踏まえた上で、同氏らは「政治的意思決定があれば、工場の生産能力をマスクの生産に転用させることでマスク不足をすぐに解決でき、既にそうなってきている」とし、「マスクはシンプルかつ安価であり、感染防止に効果を発揮しうる。RCTでエビデンスが示される前に行動すべきときである」と訴えている。

なおマスクを着用すべき場面については、「家の中(特に症状を示す人)や家の外で他人に会う可能性が高い状況(買い物、公共交通機関など)が望ましい」との考えを述べている。

引用元 : Medical Tribune 新型コロナ対策でマスク推奨すべきか
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