COVID-19入院患者の1.6%が脳梗塞を合併
米国で2016~18年シーズンのインフルエンザ入院患者とリスク比較
新型コロナウイルス最新情報

COVID-19入院患者の1.6%が脳梗塞を合併
米国で2016~18年シーズンのインフルエンザ入院患者とリスク比較

米国Weill Cornell MedicineのAlexander E. Merkler氏らは、COVID-19患者は他の呼吸器ウイルス感染症患者よりも脳梗塞リスクが高いという仮説を調べるため、ニューヨーク市の大学病院2施設を救急受診した患者や入院患者を対象に、2020年のCOVID-19患者と2016~2018年シーズンのインフルエンザ患者の脳梗塞のリスクを比較して、前者の発症率は1.6%、後者は0.2%だったと報告した。結果はJAMA Neurology誌電子版に2020年7月2日に掲載された。

COVID-19が凝固能亢進状態や血栓性の合併症を伴いやすいことが報告されている。しかし、他のウイルス性呼吸器感染症に比べ、COVID-19の脳梗塞リスクが高いかどうかは明らかではなかった。そこで著者らは、COVID-19患者とインフルエンザの患者の脳梗塞発症率を比較する後ろ向きコホート研究を計画した。

COVID-19コホートの対象は、2020年3月4日から5月2日までにニューヨーク市の大学病院2施設を救急受診したか入院した、18歳以上の診断確定例の患者。インフルエンザコホートは、2016年1月1日から2018年5月31日までに同じ施設で救急受診または入院したA型またはB型インフルエンザの診断確定例患者。

電子診療記録から、個々の患者の人口統計学的要因、血管疾患の危険因子、発現した症状(咳、発熱、呼吸困難/低酸素症など)、重症度(ICU入院、機械的換気の適用、腹臥位療法の適用など)、検査値、画像検査、投与された治療薬、院内死亡、退院時の状態などの情報を得た。

主要評価項目は急性脳梗塞とした。COVID-19コホートでは、CTやMRI画像により明らかな脳梗塞と診断されていた場合と、脳梗塞の疑いが強い患者は2人の専門医が判定した。意見が分かれた場合は第3の専門医が加わった。インフルエンザコホートの診断は、Cornell Acute Stroke Academic Registry(CAESAR)のデータを利用した。

期間中に救急部門を受診、または入院したCOVID-19患者は1916人いた。年齢の中央値は64歳、四分位範囲51~76歳、57%が男性だった。最も多く見られた症状は、呼吸困難/低酸素症で71%、続いて咳(68%)、発熱(67%)が多く見られた。330人(17%)が機械的換気を必要とした。

1916人のうち、31人(1.6%;95%信頼区間1.1-2.3%)が急性脳梗塞を発症した。発症者の年齢の中央値は69歳(四分位範囲66~78歳)で、最も若い患者の年齢は51歳だった。18人(58%)が男性だった。症状の発症から脳梗塞診断までの日数の中央値は16日(四分位範囲5~28日)だった。

脳梗塞発症者のうち、脳梗塞が受診理由だった患者が8人(26%)いた。残りの23人は、入院中に脳梗塞を発症した。11人(35%)は重症のCOVID-19患者で、機械的換気を受けていた。脳梗塞発症者は、そうでないCOVID-19患者よりも年齢は高く、脳梗塞の危険因子の保有率も高かった。また、炎症マーカーの値も高かった。また、受診時点のDダイマーの中央値は、脳梗塞発症者が1.930μg/mL(四分位範囲0.559~5.285)、起こしていない人では0.682μg/mL(0.340~1.986)だった。院内死亡率は、脳梗塞発症者が32%、非発症者は14%だった。

インフルエンザ患者は、1486人を分析対象にした。年齢の中央値は62歳、四分位範囲42~78歳、45%が男性だった。1427人(96%)に呼吸器感染症状があり、多かったのは咳(80%)、発熱(56%)、呼吸困難/低酸素症(37%)だった。48人(3%)が機械的換気を必要とした。急性脳梗塞発症者は、1486人中3人(0.2%;0.0-0.6%)だった。

2つのコホートを比べると、インフルエンザ患者の方が年齢が若く、女性が多かった。また、高血圧や糖尿病、冠動脈疾患、慢性腎臓病、心房細動の患者は少なかった。またICU入室患者の割合や、Dダイマーや赤沈の検査値も低かった

COVID-19患者とインフルエンザ患者の脳梗塞のオッズ比は、共変数を補正する前の粗の値で8.1(2.5-26.6)、年齢・性別・人種を補正すると7.6(2.3-25.2)になった。さらに血管疾患の危険因子やICU入室などを補正すると4.6(1.4-15.7)だった。

これらの結果から著者らは、ニューヨークの大学病院2施設のCOVID-19患者の脳梗塞発症率は1.6%で、インフルエンザ患者よりも高い割合を示したと結論している。今後の研究でこの結果を確認し、COVID-19患者の血栓症のメカニズムを研究する必要があると述べている。この研究は米国National Institutes of Healthなどの支援を受けている。

原題は「Risk of Ischemic Stroke in Patients With Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) vs Patients With Influenza」、概要はJAMA Neurology誌のウェブサイトで閲覧できる。

引用元 : 日経メディカル COVID-19入院患者の1.6%が脳梗塞を合併
お申し込みはこちら