PPI服用でコロナリスクが用量依存性に上昇
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PPI服用でコロナリスクが用量依存性に上昇

プロトンポンプ阻害薬(PPI)は、日本でも一般的に使われている薬剤だ。米・Cedars-Sinai Medical CenterのChristopher V. Almario氏らは、米国の一般住民を対象にオンライン調査を実施。その結果、PPIの服用と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患との間には独立した用量依存性の関連があることが示唆されたと、Am J Gastroenterol(2020年7月7日オンライン版)に発表した。

PPIによる胃酸分泌抑制で生体防御反応が低下?

PPIの副作用として骨折や慢性腎臓病、感染性胃腸炎などが報告されている。最近では、1日1回のPPI服用が消化管感染リスクになると報告された。その理由として、PPIによる胃酸の分泌抑制が、ウイルスに対する体の防御反応を低下させることが挙げられている。

胃酸の分泌抑制による新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)への影響は不明である。しかし、これまでに、pH 3以下の環境下ではSARS-CoV-2の近縁ウイルスである重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV-1)の感染力が低下することが明らかにされている。

そこでAlmario氏らは今回、PPIの服用がCOVID-19の罹患リスクを高めるのではないかという仮説を基に、米国一般住民を対象としたオンライン調査を実施した。調査期間は2020年5月3日~6月24日で、調査対象は18歳以上の米国在住男女とした。質問事項は、これまでに経験した消化管症状と、現在のPPIおよびヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)の使用状況。また、COVID-19検査で陽性だったと答えた人には、診断時における味覚、嗅覚障害の有無、消化管(腹痛、下痢、吐き気/嘔吐)、呼吸器、全身の各症状の有無についても尋ねた。

1日1回服用で約2倍、1日2回で約3.6倍のリスク上昇

調査対象者5万3,130人のうち、COVID-19の罹患者は3,386人(6.4%)だった。さまざまな交絡因子を調整して多変数ロジスティック回帰分析を行ったところ、COVID-19に罹患するリスクは、PPI非服用群と比べて1日1回のPPI服用群で有意に高かった〔オッズ比(OR)2.15、95%CI 1.90~2.44、P<0.001)。また、1日2回の服用群ではさらにリスクが高まった(同3.67、2.93~4.60、P<0.001)。一方、H2ブロッカーの使用による罹患リスクの上昇は認められなかった。

以上から、PPI服用とCOVID-19罹患との間には、独立した用量依存性の関連が示唆された。Almario氏らは「メタ解析によると、胃食道逆流症へのPPIの1日2回投与は、1日1回投与と比べて、臨床的有効性に有意差はないとされている。今回の知見を踏まえても、やはりPPIの処方は臨床的有効性が得られる最低用量にすべきである」との考えを示し、「PPIとCOVID-19の関連については、さらに研究を重ねる必要がある」と付言した。

引用元 : Medical Tribune PPI服用でコロナリスクが用量依存性に上昇
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