コロナ患者の予後が経時的に著明改善
観察研究24件・1万例超のメタ解析
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コロナ患者の予後が経時的に著明改善
観察研究24件・1万例超のメタ解析

英・University of BristolのRichard A. Armstrong氏らは、アジア、欧州および北米の3大陸から報告された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の集中治療室(ICU)退出時転帰に関する観察研究24件のシステマチックレビューおよびメタ解析の結果、2020年1~5月にICU生存退室率が著明に改善していることをAnaesthesia(2020年6月30日オンライン版)で発表した。(関連記事「2剤併用でコロナ重症例の8割がICU退室」)。

ICU退出時転帰を調査

COVID-19の出現により、世界中で集中治療のニーズが高まっている。しかし、COVID-19でICUに入室した患者の死亡率は不明である。今回の研究では、システマチックレビューとメタ解析を実施し、COVID-19で集中治療を受けた成人患者の死亡率を検討した。

MEDLINE、EMBASE、PubMed およびCochrane Libraryを用いて、2020年1月1日~5月31日に発表された、COVID-19でICUまたは高度治療室に入室した18歳以上の患者のICU死亡率に関する文献を抽出した。主要評価項目は、ICU退出時転帰(生存退室または死亡退出)における死亡率とした。ICUで治療中の生存患者は対象に含まれない。

欧米とアジアから、COVID-19と診断されICUに入室した患者合計1万150例を含む観察研究24件が特定された。これらの研究の患者数の中央値は30例〔四分位範囲(IQR )19~134例〕。発行日は2020年1月24日~5月29日で、国別件数は中国8件、米国6件、フランス2件、カナダ、デンマーク、オランダ、香港、イタリア、シンガポール、スペインおよび英国が各1件。ICU死亡率は0~84.6%と報告された。

アジア、欧州、北米で有意差なし

24件中7件の研究では全対象者のICU転帰を報告していたが、残り17件ではその割合が24.5~97.2%とがさまざまだった。アジア、欧州および北米を統合した全体のICU退出時の死亡率は41.6%(95%CI 34.0~49.7%、 I2 = 93.2%)と推定された。

大陸別、研究特性(サンプルサイズ、ICU転帰打ち切りなど)によるサブグループ解析では、グループ間で有意差や異質性の大幅な低下はなかった。

一方、メタ回帰分析では、地理的位置と転帰が報告された患者の割合を調整後も研究報告の発行日が死亡率に有意な影響を与えており、死亡率は経時的に低下した〔1カ月経過するごとの治療効果(ロジット変換確率)-0.62、P=0.01〕。

死亡率は3月50%超→5月末40%

以上の結果から、Armstrong氏らは「COVID-19患者のICU転帰に関するシステマチックレビューとメタ解析の結果、研究全体のICU死亡率は41.6%で、世界中で差がなかった。また、今年3月に50%を超えていた死亡率は5月末に40%近くまで低下した。臨床報告の迅速な公開により世界中で行われた学習の効果やICU入室基準の変更などが影響したと考えられる。パンデミックの進展に伴い、さまざまな要因が複合的に影響してICUに入室したCOVID-19患者の生存率が大幅に改善した」と述べている。

ICU死亡率は、入室基準、ICUでの治療内容に違いがあったにもかかわらず、大陸間で有意差がなかった。同氏らは「このデータは5月末まで一貫しており、特定の治療法が死亡率を低下させているのではないことを示唆する」とした。ただし、英国のRECOVERY試験でデキサメタゾンがCOVID-19重症例の死亡を減少させると報告されたことから、同薬による今後の生存率改善に期待を示した。日本でも厚生労働省が7月17日付けで「COVID-19診療の手引き」に承認薬として同薬を記載した。

同氏らは「将来的には、ICUの転帰データをより体系的手法で収集・報告すること、また集中治療の定義を明確化し、適用された入室基準、入室時の患者の状態および治療内容などを含めた研究を行うことが重要になる」と指摘している。

引用元 : Medical Tribune コロナ患者の予後が経時的に著明改善
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