医師6436人に聞いた「新型コロナウイルス接触確認アプリは感染拡大防止に有益か?」
COCOA、「インストールしていない」が7割
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医師6436人に聞いた「新型コロナウイルス接触確認アプリは感染拡大防止に有益か?」
COCOA、「インストールしていない」が7割

2020年6月19日より配信が開始された新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)。9月11日17:00現在のインストール数は約1663万件で、日本人口の約13%にとどまっている。厚生労働省はCOCOAの普及率について数値目標を定めていない。しかし、日本大学生産工学部のシミュレーションでは、累計感染者数を半減させるには「人口の約半数がアプリを利用し、感染者との接触者は外出の半分を控える」という目安が示されており、普及率が十分だとは言いがたい。iPhone用のOS「iOS 13.7」からは標準機能として、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の接触通知機能が搭載されたが、現時点でその機能を利用するためにはCOCOAが必要となる。

日経メディカル Onlineは医師会員を対象として、2020年8月31日~9月6日にアンケートを実施。COCOAのインストールの有無を尋ねたところ、調査に回答した6436人のうちインストールしている医師は24.4%で、67.0%が「していない」と回答した。国民全体の割合と比べると、医師のCOCOAインストール率は高い傾向にあるものの、医師の間での普及率も決して十分ではないことがうかがえた。

COVID-19の拡大防止にCOCOAが有益だと思うかどうかを聞いたところ、「非常に有益」が3.4%、「どちらかというと有益」が32.5%で、合計すると全体の35.9%を占めた。一方、「全く有益ではない」「どちらかというと有益ではない」と答えた医師の合計は23.5%であり、COCOAの感染抑止効果に期待している医師の方が、COCOAの有益性を疑問視する医師よりも多かった。また、「分からない」という回答も34.4%あり、COCOAの有効性を判断しかねている医師も少なくないことが示唆された。

厚労省は8月21日、COCOAから通知を受けた場合、本人が希望すれば症状の有無や濃厚接触者に該当するか否かにかかわらず行政検査の対象となり、公費でPCR検査や抗原検査を受けられるよう各自治体に要請した。この措置について、「賛成」が54.3%、「反対」が12.4%となり、賛成派が多数を占めたが、「分からない」という回答も3分の1に至った。理由として、賛成派からは「公費で検査を受けられるようになることで、COCOAの普及につながる」(20代病院勤務医、病理科)、「通知があれば全例に対して検査をすべきであり、公費負担はその後押しとなる」(40代病院勤務医、精神科)という声が聞かれた。反対派は「無制限の公費による検査は現場に負荷を与える」(50代病院勤務医、脳神経内科)など検査数増加による医療者の疲弊のほか、医療費の増大を懸念する意見が目立った。

自由記述欄の内容からは、「問題点はあるかもしれないが、COCOAは現段階ではベストの感染抑止策だと思う」(30代病院勤務医、総合診療科)、「普及が進むことで、さらなる効果が期待できる」(50代病院勤務医、整形外科)などCOCOAの普及を望む医師は少なくないことがうかがえた。インストールを推進するための対策としては、「インセンティブをつければもっと普及すると思う」(40代病院勤務医、一般内科)のようにポイント還元や減税、割引といった特典の付与に加え、広告による周知、インストール義務化を挙げる回答が多かった。

一方で、「市中感染が非常に多く、COCOAで防げる新規感染者は全体のごく一部であると考えられるため、焼け石に水のように感じる」(20代病院勤務医、初期研修医)といったCOCOAの効果を疑問視する意見も散見された。さらに、「個人情報は保護されるというが、信用できない」(60代病院勤務医、心臓血管外科)、「Bluetooth機能を常にオンにしておく必要があり、バッテリーの消費が進むためインスト-ルしたくない」(40代病院勤務医、精神科)など、COCOAの安全性や実用面に関する指摘も多く見られた。

COCOAに対する意見(自由記述欄から)

◆COCOA推進派

・COCOAによって感染の疑いが通知されれば、周囲への感染拡大を防ぐ対応を自主的に行うことができる(40代病院勤務医、耳鼻咽喉科)

・本人も把握していなかった陽性者との接触がCOCOAによって拾い上げられ、接触者を検査へとつなげることで感染の拡大を予防できる(40代診療所勤務医、消化器内科)

・感染経路不明例減少の一助になるのではないか(30代)

・COCOAを通じた接触通知によって陽性者が見つかったという事例もあり、COCOAの存在価値が証明されたと思う(50代開業医、小児科)

・「疑わしきは検査せよ」という姿勢でないと、感染拡大は抑えられない(50代病院勤務医、総合診療科)

・外国では接触確認アプリが有用であるという報告があるので、日本でも実施する価値はある(60代病院勤務医、小児科)

・医療関係者でCOCOAをインストールしていない人がいるなんて信じられない(50代病院勤務医、麻酔科)

・COCOAだけでは不十分だが、無いよりはまし(70代、消化器内科)

◆COCOA否定派

・関心が高い人しか利用しないので、クラスター対策には無効だと思う(50代病院勤務医、一般内科)

・陽性者とすれ違った程度で検査を行っていたら、検査前確率が下がってしまう(20代病院勤務医、総合診療科)

・使用率が低過ぎるので、ただのお守りアプリと変わらない(60代病院勤務医、一般内科)

・PCR検査結果のCOCOAへの登録を義務化しなければ意味はない(50代診療所勤務医、一般内科)

・国が個人情報を管理するような監視社会へとつながりかねない(60代、麻酔科)

・COCOAの誤作動が問題になっており、まずはそれを解決してほしい(60代病院勤務医、一般内科)

・既にCOVID-19と共存する時代へと突入しており、排除や隔離対策を講ずるべき段階ではない(50代病院勤務医、小児科)

・COCOAから通知を受けた場合でも、保健所に検査を断られることがあった(60代病院勤務医、麻酔科)

◆普及につなげる一手

・COCOAを普及させるには、金銭を絡ませるのがよいと思う。マイナポイントのように還元すれば、普及率も高まるのではないか(20代病院勤務医、初期研修医)

・テレビや新聞、インターネットといった媒体で、有効性や安全性、使い方、メリットなどを広く周知させる必要がある(30代病院勤務医、耳鼻咽喉科)

・インストールを義務化して、強制的に全国民に利用させる(40代開業医、皮膚科)

・政府のITリテラシーを向上させて、民間アプリのように「使い勝手がよく、不具合が少なく、セキュリティーの高い」ものを提供すればよい(40代病院勤務医、放射線科)

・いつどこで接触したかを分かるようにすれば、インストール数が増えると思う(40代病院勤務医、呼吸器内科)

・Go To Travelキャンペーンを利用する際の条件としてCOCOAのインストールを義務化すべきだった(40代病院勤務医、一般内科)

・COCOAをインストールしていないと、イベント参加や、公共交通機関、飲食店の利用を不可とする(30代診療所勤務医、一般内科)

・感染者や感染疑い者に対する差別があるため、適切に運用されていないのではないか(20代病院勤務医、初期研修医)

・ガラケーでも使えるようにすべき(50代病院勤務医、消化器内科)

◆その他

・韓国のように、国が個人情報をもう少し積極的に収集してもよいと思う(60代診療所勤務医、一般内科)

・COCOAやココアという同名アプリが複数あるため、別の名称にすべきだった(40代病院勤務医、腎臓内科)

・COCOAによって感染抑止効果がどれほど出ているのか、早く検証すべき(50代病院勤務医、脳神経外科)

・そもそもCOVID-19をそこまで警戒する意味はないと思う(40代病院勤務医、一般外科)

調査概要

日経メディカル Online医師会員を対象にウェブアンケートを実施。期間は2020年8月31日~9月6日で、回答者数は6436人。内訳は、病院勤務医72.2%、開業医12.6%、診療所勤務医12.5%など。集計対象者の内訳は、20代6%、30代19.8%、40代23.1%、50代29.6%、60代18.1%、70代2.8%、80歳以上0.5%。

引用元 : 日経メディカル COCOA、「インストールしていない」が7割
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