コロナとインフル、PCRで同時判定 ロシュが申請へ
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コロナとインフル、PCRで同時判定 ロシュが申請へ

スイス製薬大手のロシュは新型コロナウイルスと季節性インフルエンザウイルスの感染を同時に判定できるPCR検査向け試薬を開発した。近く日本で承認申請する。医療機関や検査会社が持つロシュ製の検査装置と組み合わせることで、ウイルスの有無を高精度に判定。同時流行に備えるとともに患者や医療現場の負担軽減にもつなげる。

ロシュの日本法人であるロシュ・ダイアグノスティックス(東京・港)が近く厚生労働省に試薬を薬事申請する。ロシュは今月3日に米国で米食品医薬品局(FDA)から緊急使用許可(EUA)を取得した。欧州でも販売していく。

試薬は遺伝子を増やしてウイルスの有無を判断するPCR検査で用いる。ロシュの検査装置「コバス6800」「コバス8800」専用で、鼻やのどの粘液を綿棒で採取して検体とする。1つの検体で新型コロナとインフルA型、B型を同時に検出できる。最大96人分を全自動で測定し、約3時間で結果が判明する。

検査装置の価格は1台数千万円とみられる。国内に約40台が設置され、大規模病院や、H.U.グループホールディングスなどの検査会社が保有している。

ロシュの試薬は、感染が疑わしい患者を再検査する場合や、別の病気で入院している患者など、高精度な検査が必要な場面で使われる見通しだ。

検査装置の設置台数が限られるため、発熱した患者が最初に受ける初期段階の検査では使われない可能性が高い。ただ、新型コロナとインフルの両方が判定できる製品の運用は、今後の検査のあり方を探るモデルケースとして注目される。

国内の季節性インフルの患者数は年間1000万人を数えるが、新型コロナとインフルは発熱などの症状から区別することが難しい。同時流行の場合は患者が急増する可能性もある。

コロナが疑われる発熱患者は、これまでは主に保健所を介して医療機関を受診していた。厚労省は今秋からは発熱患者に対し、まずはかかりつけ医など地域の医療機関に相談することを求めていく。かかりつけ医では、コロナを迅速に判定できる抗原検査やインフルの簡易検査キットで患者の感染を見極める。

ただし、抗原検査やインフルの簡易検査キットは一般にPCR検査よりも精度が低い。結果は陰性だが感染が疑われる場合などは、大規模病院でPCR検査などの再検査を受けることになる。今回のロシュの試薬もそうした場面での活用が見込まれている。

感染症に詳しい国際医療福祉大学の松本哲哉主任教授は「可能性は小さいかもしれないが、新型コロナとインフルの両方に感染する事態も起こり得るだろう。初期の検査には抗原検査を使っても、感染しているかどうかの最終判断はPCR検査を使わざるを得ない」と指摘している。

新型コロナとインフルの同時判定は関連メーカーにとっても重点分野といえる。仏検査機器・試薬の日本法人であるビオメリュー・ジャパン(東京・港)は自社のPCR検査装置と組み合わせて使う試薬で、新型コロナとインフルが同時に判定できる製品を販売済み。ロシュに先行して厚労省の承認を受けている。また国内勢では再生医療装置などを手掛ける渋谷工業も同時に判定できるPCR検査装置の開発を発表している。

今冬のインフルシーズン到来に向けて、設備と運用の両面で早期の体制構築が急務だ。

引用元 : 日本経済新聞 コロナとインフル、PCRで同時判定 ロシュが申請へ
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