「戦略的PCR検査」でコロナ感染予防と経済活性化を両立、カギは…
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「戦略的PCR検査」でコロナ感染予防と経済活性化を両立、カギは…

日々さまざまなメディアで報じられる医療ニュース。視点を変えると違った側面が見えてくるかもしれません。全国紙や出版社で執筆経験豊富なベテランジャーナリストが、多角的なニュースの味わい方をお届けします。

元は24時間・365日体制で地域医療を支え、現在は新型コロナウイルスのPCR検査を24時間実施していることで注目される「ふじみの救急クリニック」(埼玉県・三芳町)。紹介状も電話予約も不要で、1日250~350人にPCR検査を行っている。検体を朝6時までに出せば昼に結果が出て、昼までに検体を出せば夕方には結果がわかる。これまでに実施した検査数は約2万件に及び、約600人の陽性者を見つけ出してきた。

そこから何が見えてきたのか。話を伺った鹿野 晃・理事長兼院長によれば、対象を絞り込み、PCR検査を公費で定期的に行うことで、感染予防のみならず経済活性化にも寄与する「戦略的PCR検査」の必要性だ。

新型コロナの特徴として、若い人は比較的軽症で済む一方、無自覚に高齢者や基礎疾患などを抱えた人を感染させ、そうした人たちが重症化してICUや病床を埋めてしまうということが挙げられる。したがって、「若い感染者を早く見つけることが何より重要」と鹿野氏は指摘する。同時に、これまでのクラスター発生事例の分析などから、感染リスクが高い業種・場所がある程度特定できており、「医療・介護施設、学校、飲食店、理・美容店、営業マンなど、不特定多数の人たちと接する業種や職種に関しては、週に1回、定期的なPCR検査を公費で行い、陰性が確認できれば営業してもいいというような、戦略的な検査体制が必要」と説く。

一方で、都道府県をまたぐ移動や、Go Toトラベル対象施設でのコロナ感染が懸念される中、鹿野氏が提唱するのが「新しい旅の様式」だ。つまり、旅行や行楽の前日までにPCR検査を受け、陰性証明書を発行してもらい、堂々と旅行するのだ。受け入れる飲食店側も従業員にPCR検査を実施、全員陰性であると証明し、当然ながら換気などの感染予防策も徹底する。そうすれば、「新型コロナの感染拡大を防ぎつつ、全力で経済を回すことも両立できる」(鹿野氏)。

問題は検査費用だ。ふじみの救急クリニックでは、9月1日から自費のPCR検査料金を3万円から1万円(税込み)に引き下げると共に、法人負担で全職員を対象に毎週PCR検査を実施することにした。それでも、家族4人が旅行前にPCR検査を受けるとなると、検査費用は計4万円にも上る(同クリニックの場合)。これだけの出費となると、そもそも旅行に行かないかもしれない。しかし、鹿野氏は「濃厚接触者ではない人のPCR検査の料金も公費で賄うようにして、感染防止を徹底した中で旅行者が増えれば、経済も回っていくのでは」と話す。

PCR検査推進反対派の中には、ワクチン開発や集団免疫の獲得を待つべきという人もいるが、これは事実上の無策と言える。それならば、戦略的に感染の高リスク業種や出発前の旅行者などに対象を絞って公費でPCR検査を実施すれば国民の納得も得られるのではないだろうか。このたび決まった新首相は、どうやら厚生分野に意欲的であるようだし、ぜひこの案、前向きに検討していただきたいものだ。

引用元 : Care Net 「戦略的PCR検査」でコロナ感染予防と経済活性化を両立、カギは…
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