ウィズコロナ時代のインフルエンザ迅速検査とは
インタビュー◎日本臨床内科医会インフルエンザ研究班の池松秀之氏に聞く
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ウィズコロナ時代のインフルエンザ迅速検査とは
インタビュー◎日本臨床内科医会インフルエンザ研究班の池松秀之氏に聞く

今冬のインフルエンザは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行下でシーズンを迎える。目の前のインフルエンザ様症状を呈する患者がCOVID-19に罹患している可能性がある以上、インフルエンザの迅速検査も慎重にならざるを得ない。ウィズコロナ時代のインフルエンザ迅速検査とはどうあるべきなのか──。日本臨床内科医会インフルエンザ研究班の池松秀之氏に聞いた。

── 今季のインフルエンザですが、まだ国内での流行の兆しは見えていません(関連記事)。

池松 南半球でのインフルエンザの流行はほとんどなかったことを考えると、日本の今冬のインフルエンザ流行はあっても小規模に終わるかもしれません。ですが、患者がまったく出ていないわけではないですから、警戒はすべきだと思います。

── ウィズコロナ時代のインフルエンザ診療は、変わらざるを得ないのでしょうか。

池松 感染防御という点で、より安全性を高めた診療に変化していくのではないでしょうか。特に迅速診断キットによる検査は、鼻かみ液を検体種とする方向に向かうと思います。これまでの迅速診断キットによる検査では、鼻咽頭のぬぐい液を使うのが主流です。しかし、鼻咽頭のぬぐい液を採取する際に、患者さんがくしゃみや咳などをすることがあります。医療者は個人防護具で感染予防をするわけですが、これからはCOVID-19の可能性も考えて、より慎重な対応をしなければなりません。

── 医療者の感染を防ぐという意味で、慎重にならざるを得ない。

池松 鼻かみ液を検体種とすることで、採取時の感染リスクを下げることができます。日本臨床内科医会では鼻かみ液による迅速診断に取り組んできましたが、今は、鼻かみ液が使える診断キットができており、多くが保険適用になっています。

── 鼻かみ液を使った場合の診断能は、鼻咽頭ぬぐい液などと遜色ないのでしょうか。

池松 鼻腔ぬぐい液、鼻腔吸引液、鼻汁鼻かみ液、咽頭ぬぐい液を使って、インフルエンザ迅速診断キットの臨床性能を調べた結果です。このキットで陽性となった検体について、目視で陽性と判定可能となるまでの時間(陽性判定時間)と検査までの時間別に陽性一致率を見たものです。鼻汁鼻かみ液は、ほかの検体種とほぼ変わらない性能でした。B型インフルエンザウイルスの場合も同様です。

── 咽頭ぬぐい液よりも性能が高くなっています。

池松 臨床性能に差はなく、感染のリスクも下げられるという点で、ウィズコロナ時代にあっては、鼻かみ液を使った迅速診断が推奨されると思います。

── 実際の使い方はどうなりますか。

池松 検体採取では、患者さんに専用の鼻かみシートを使って鼻をかんでもらいます。シートは診断キットに付属しているものや単独で販売されているものがあります。シートがなければ、サランラップを使う方法もあります。採取した鼻かみ液はシートごと透明のビニール袋(ジッパー付き)に入れ、ジッパーを閉めて手とビニール袋を消毒してもらい、マスクと手袋を着用したスタッフが開けたビニール袋に直接入れます。患者さんが手袋をつけて鼻かみを行うともっとよいと思います。

スタッフは、ビニール袋の上から鼻かみ液のシートをもんだ後、ジッパーを開けて綿棒で鼻かみ液を採取します。その後、鼻かみ液が使える迅速検査キットで判定します。

── COVID-19の検査方法として、鼻腔ぬぐい液も検体種に使用可能となりました(関連記事)。

池松 鼻腔ぬぐい液と鼻かみ液は、同じ検体種として扱っていいのではないかと思います。ただ、鼻腔ぬぐい液という言葉の使い方には少し混乱があるようです。従来のインフルエンザの検査では、鼻咽頭ぬぐい液が鼻腔ぬぐい液と呼ばれていました。今後、どの検体をどのように使用するか、インフルエンザとCOVID-19の検査の順序をどうするかなどについて、日本臨床内科医会としても検討したいと思います。

引用元 : 日経メディカル ウィズコロナ時代のインフルエンザ迅速検査とは
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