新型コロナ重症化の新たな危険因子とは
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新型コロナ重症化の新たな危険因子とは

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)では、患者の約20%が重症化して入院を余儀なくされ、うち5%が集中治療室(ICU)に入室する。そのため、重症化リスクが高い患者の判別は重要だ。フランス・Hospices Civils de LyonのCyrielle Caussy氏は、COVID-19重症化の危険因子を特定するため、自施設に入院した患者の登録データを解析。その結果、肥満がCOVID-19悪化の危険因子である可能性が示唆されたと、Lancet Diabetes Endocrinol(2020年5月18日オンライン版)に発表した。

COVID-19入院患者の32%がICU管理

中国のコホート研究では、COVID-19重症化の危険因子として高齢、心筋症、2型糖尿病、高血圧などを挙げている。肥満に関しては、60歳未満のCOVID-19患者ではBMI 30以上がICU管理の危険因子となる可能性や、COVID-19によるICU入院患者とそれ以外のICU入院患者では、BMIの分布に違いがあることなどが報告されている。しかし、現時点でCOVID-19の重症化と肥満の関連を検討した研究はほとんど行われていない。

米国、英国、メキシコなど肥満人口が多い国でCOVID-19の流行が拡大している状況を考えると、肥満とCOVID-19重症化との関係を明らかにすることは重要だ。そこでCaussy氏らは、同院の患者登録データを用いて、COVID-19入院患者に占める肥満(BMI 30以上)の割合を評価した。

解析対象は、2020年3月27日時点で同院に入院したCOVID-19重症患者340例。そのうち110例(32%)がICU管理下にあった。対照として2007~19年に、COVID-19以外で同院のICUに入院していた患者1,210例を抽出した。

COVID-19重症患者の肥満割合は一般の1.35倍

フランスの成人人口における肥満人口は15%(2014年時点)だったのに対し、COVID-19入院患者に占める肥満者の割合は25%(85/340例)であった。年齢および性で標準化して解析したところ、COVID-19重症患者における肥満者の割合は、フランス成人人口の1.35倍(95%CI 1.08~1.66倍、P=0.0034)と有意に高かった。同様に、ICU入院のCOVID-19患者においても、肥満者の割合は成人人口の1.89倍(同1.33~2.53倍、P=0.0011)と有意に高かった。

多変量ロジスティック回帰分析の結果、ICU入院COVID-19患者における肥満者の割合は、非ICU入院患者と比べて有意に高かった〔オッズ比(OR)1.96 、95%CI 1.13~3.42、P=0.018)。

一方、COVID-19以外でICUに入院した対照患者における肥満の割合は26%(314/1,210例)だった。年齢および性を調整して解析したところ、ICU入院のCOVID-19患者における肥満者の割合は、対照患者に比べ有意に高かった(OR 1.69、95%CI 1.10~2.56、P=0.017)。

ICU管理のリスクは肥満患者で2.16倍

さらに、COVID-19入院患者がICU管理に至る危険因子を特定するため、探索的データ解析を実施した。年齢および性を調整して解析したところ、COVID-19入院患者がICU管理となるリスクは、非肥満患者に比べて肥満患者で有意に高かった〔ハザード比(HR)2.16、95%CI 1.27~3.68、P=0.0041)。高血圧、2型糖尿病など他の因子を加えた解析でも、肥満のCOVID-19患者におけるICU入院リスクは高いまま維持された。

以上から、Caussy氏らは「肥満がCOVID-19を重症化させ、ICU入院リスクを高める危険因子となる可能性が示唆された」と考察している。

検証には縦断的研究が必要

ただしCaussy氏らは、研究の限界について次の点を挙げる。①ウイルス量や社会経済的要因、非アルコール性脂肪性肝疾患などの肥満合併症といった交絡因子を調整していない②入院患者を追跡していない③今回の結果が他の集団にも当てはまるとは限らない④非COVID-19患者は施設内の入院患者に限定されており、肥満の割合を正確に評価するには人口ベースの研究が必要である―。

その上で、同氏らは「肥満がCOVID-19の重症化の危険因子であることを検証するには、入院期間や致死率などを含めた縦断的研究が必要」とし、データを集積して、さらに研究を重ねる意向を示している。

引用元 : Medical Tribune 新型コロナ重症化の新たな危険因子とは
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