学校再開でもCOVID-19死は増加しない
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学校再開でもCOVID-19死は増加しない

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックで小児が主要な要因となっている可能性は低く、学校や幼稚園を再開してもCOVID-19による高齢者の死亡例の増加にはつながらないと考えられる―。そう結論づけるシステマチックレビューを、スウェーデン・Karolinska InstitutetのJonas F. Ludvigsson氏がActa Paediatr(2020年5月19日オンライン版)に発表した。なお、日本小児科学会は小児のCOVID-19に関する医学的知見をまとめた情報を公開。小児ではCOVID-19による直接的な影響よりも、学校などの閉鎖による心身への影響など間接的な健康被害の方が大きいことを指摘している。

小児ではウイルス量が少ない可能性

これまで、COVID-19の拡大を阻止するための対策の1つとして、世界各国で学校や幼稚園などを閉鎖する措置が取られてきた。しかし、COVID-19の拡大に小児がどの程度寄与しているのかについては明確には分かっていなかった。

Ludvigsson氏は今回、医学文献のデータベース(MEDLINEおよびEMBASE)と査読前論文のオンライン・アーカイブmedRxiv/bioRxivを用いて小児のCOVID-19に関する論文を検索。MEDLINEおよびEMBASEでは2020年5月11日まで、medRxiv/bioRxivでは同年5月12日までに公開された論文を検索し、同定された計700件の論文のうち47件について全文を精査した。

その結果、小児はCOVID-19症例のほんの一部を占めるにすぎないこと、小児患者の場合は社会的接触の機会のほとんどが重症化リスクの高い高齢者ではなく同級生や親との接触であることが示されていた。

一方、ウイルス量に関するデータは少なかったが、これまでに得られたデータからは成人と比べて小児ではウイルス量が少ない可能性が示唆されていた。

家庭内感染で小児が発端者となることはまれ

また、小児では成人と比べてくしゃみや咳などの症状が見られにくく、このことから小児では物理的なウイルスの感染伝播リスクは低いことが示された。さらに、家庭内感染に関する複数の研究で小児が発端者となることはまれであるとの結果が示されていた他、症例報告からは小児患者がアウトブレークを引き起こす可能性は低いことが示唆されていた。

ただし、小児が他者に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を感染させる可能性はあり、無症状でもウイルスを排出しうることは明らかにされていた。

以上を踏まえ、Ludvigsson氏は「小児はCOVID-19のパンデミックにおいて大きな役割は果たしていないと考えられる。また、学校や幼稚園が再開されても高齢者のCOVID-19による死亡率には影響を及ぼす可能性は低いとみられる」と結論している。

小児科学会はCOVID-19関連健康被害の影響を指摘

なお、今回のレビューが発表された翌日(5月20日)に日本小児科学会は、同学会の会員および医療関係者を対象に小児のCOVID-19に関する医学的知見をまとめ、公式サイトで公表(関連リンク参照)。キーポイントとして以下を挙げ、「小児に関する限り、COVID-19が直接もたらす影響よりもCOVID-19関連健康被害の方がはるかに大きくなることが予想される」との見解を示している。

・COVID-19患者の中で小児が占める割合は少なく、そのほとんどは家族内感染

・小児では成人と比べて軽症で、死亡例もほとんどない

・乳児では発熱のみのこともある。10歳代では凍瘡様皮膚病変が足先にできることがある。他の病原体との混合感染も少なくない

・SARS-CoV-2は鼻咽頭よりも便中に長期間そして大量に排泄される

・リンパ球減少、プロカルシトニン高値、D-ダイマー高値、CK-MB高値に要注意

・胸部CTでは成人と同様にすりガラス様陰影や胸膜下病変がよく認められるが、暈状徴候に囲まれた硬化像(consolidation with surrounding halo sign)が小児の特徴である可能性が考えられる

・ほとんどの小児COVID-19症例は経過観察または対症療法で十分とされている

・急性呼吸不全症例ではコンサルタントや転送のタイミングを逃さないように注意する

・COVID-19罹患妊娠・分娩において母子ともに予後は悪くなく、垂直感染はまれ。しかし、新生児の感染は重篤化する可能性もある

・海外のシステマチックレビューでは、学校や保育施設の閉鎖は流行阻止効果に乏しく、逆に医療従事者が仕事を休まざるをえなくなるためにCOVID-19死亡率を高める可能性が推定されている

・教育・保育・療育・医療福祉施設等の閉鎖が子どもの心身を脅かしており、小児に関してはCOVID-19関連健康被害の方が問題と思われる

引用元 : Medical Tribune 学校再開でもCOVID-19死は増加しない
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