SARS-CoV-2ウイルス量は患者の死亡率に関連
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SARS-CoV-2ウイルス量は患者の死亡率に関連

SARS-CoV-2を検出するRT-PCR検査の結果は、陽性か陰性かを告げる定性検査として利用されることが多いが、RT-PCRは陽性患者の標本中に存在するウイルス量の定量を可能にする。米国Icahn School of Medicine at Mount SinaiのElisabet Pujadas氏らは、定量的RT-PCR検査を行い、診断が確定した患者の標本に含まれていたSARS-CoV-2コピー数とその後の患者死亡の関係を検討し、ウイルス量とCOVID-19死亡の間に独立した関係を見いだした。結果は、Lancet Respiratory Medicine誌電子版に2020年8月6日に報告された。

SARS-CoV-2以外のウイルス性疾患においては、ウイルス量が、周囲に感染を広げるリスクや、本人の重症化のリスクと関係することが示されている。SARS-CoV-2でも同様に、ウイルス量が、感染性、疾患の表現型、重症化、死亡リスクと関係する可能性がある。しかしこれまでのところ、大規模な集団を対象として、ウイルス量と死亡の関係を評価した研究はなかった。

著者らは、2020年3月13日から5月4日までに鼻咽頭スワブの採取が行われ、Roche社のcobas6800システムベースのRT-PCR検査によってSARS-CoV-2陽性と判断された入院した患者の中から、生存退院したか院内で死亡したかが判明していた1145人を選んだ。それらの人々から最初に採取された標本に対して、自施設内で開発した定量的RT-PCR検査を適用し、ウイルス量を計算した。

1145人の患者の平均年齢は64.6歳で、56.9%が男性だった。自己申告された人種は、31.2%がアフリカ系、29.3%が白人、3.7%がアジア系、32.8%はその他の人種、3.1%は人種不明だった。追跡期間は、平均で13日、最長67日間になった。

全体では、ウイルス量の平均は5.6 log10コピー数/mLで、中央値は6.2 log10コピー数/mLだった。生存退院した807人の患者の平均ウイルス量は5.2 log10コピー数/mL、死亡した338人の患者では6.4 log10コピー数/mLで差は有意だった。

年齢、性別、喘息、心房細動、冠動脈疾患、慢性腎臓病、慢性閉塞性肺疾患、糖尿病、心不全、高血圧、脳卒中、人種を補正し、Cox比例ハザードモデルを用いて分析したところ、ウイルス量と死亡の間に独立した関係が認められた。ハザード比は1.07(95%信頼区間1.03-1.11)となり、ウイルス量が1 log10コピー数/mL上昇当たり、死亡リスクが7%上昇していた。

単変量生存解析を行ったところ、ウイルス量が5.6 log10コピー数/mL以上の患者では、それ未満の患者に比べ、生存の可能性が有意に低いことが示された(P=0.0003)。

これらの結果から著者らは、ウイルス量が高いことと死亡の間に独立した関係があることが示唆されたため、定性的なPCR検査を定量的な検査に変えれば、臨床医は死亡リスクに基づく治療を選択するのに役立つだろうと述べている。

原題は「SARS-CoV-2 viral load predicts COVID-19 mortality」、概要はLancet Respiratory Medicine誌のウェブサイトで閲覧できる。

引用元 : 日経メディカル SARS-CoV-2ウイルス量は患者の死亡率に関連
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